「品質が保証されているか」— FDA査察から見た目のつけどころとチェックポイント

今回取り上げるWarning Letterは、Sante Manufacturing Inc.(カナダ)に対して2026年6月5日付で発出されたものです。対象はOTC医薬品で、FDAは、21 USC 704(a)(4)に基づく記録および情報の提出要請に対して同社が提出した内容をレビューしました。原文はFDA公式サイト(https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/sante-manufacturing-inc-724931-06052026)で確認できます。また、ブラウザの翻訳機能で日本語で読むこともできます。

今回は、このWarning Letterの第2項目に記載された、21 CFR 211.100(a)の指摘に焦点を当てます。このセクションは、「医薬品が表示どおりの同一性、力価、品質および純度を有することを保証するように設計された、製造および工程管理の適切な手順書を確立すること」を求めています。プロセスバリデーションは、主にこのセクションとの関係で問われます。

具体的には、次の2つの問題が明らかになりました。

1)製造用水システムのクオリフィケーションが適切に実施されていたことを示せず、日常的なモニタリングも不十分であったこと。この水は製品の成分として使用されていましたが、USPモノグラフの試験要件および用途に応じた適切な微生物限度に適合することを、データで十分に示せない状態でした。

2)適切なプロセスバリデーションプログラムが示されていなかったこと。つまり、製品が「管理された状態で製造されている」ことの科学的根拠を示せませんでした。

ここでFDAが問うのは、「SOPがある」「手順どおりに製造している」という事実だけではありません。「その工程が設計どおりに機能し、製品品質を保証できる状態にあることをデータで証明できるか」という点が問われています。

製造用水システムのクオリフィケーションとモニタリングは、その証明の出発点に位置しています。水が製品の成分として使用されている以上、水の品質が保証されていなければ、どれだけ製造手順を整えても、製品品質の根拠そのものが揺らいでしまいます。

ここで、査察官の思考プロセスを推論してみました。

プロセスバリデーションが適切に示されていない
工程が管理状態にあることを証明できない→
製造用水システムのクオリフィケーションおよびモニタリングも不十分→
製品に投入される水の品質が、USP要件および微生物限度に適合することを示せない→
工程に入力される品質が不確か→
最終製品の品質保証の根拠が弱くなる→
品質システムの基本が欠けている。

これは「手順書がなかった」という単純な問題ではなく、品質を設計し、実証し、継続的に維持するという仕組み全体が機能していなかったことを意味しています。

「製造はできていた」としても、「品質を保証するための設計と証明が伴っていなかった」点が、この項目の本質であると感じます。

FDAの文脈では、プロセスバリデーションはライフサイクルを通じた継続的な活動です。製造用水の管理も、一度クオリフィケーションを実施すれば終わりではありません。日常的なモニタリング、アラートレベル・アクションリミットの設定、微生物管理、システムの維持管理を通じて、継続的に管理状態を示す必要があります。

「これまで問題が出ていないから大丈夫」という経験則は、構造的な証明の欠如を隠しやすく、同じリスクを再発させることになりかねません。

プロセスバリデーションは、「実施した」という記録で終わっていないでしょうか。製造用水システムは、クオリフィケーション後も継続的なモニタリングの仕組みが維持されているでしょうか。データを問われたとき、答えられる状態にあるでしょうか。

そこが、今回のWarning Letterから見えるFDAの「目のつけどころ」であるように思います。

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