FDA Warning letter(320-18-61):API(中国):OOS調査;品質部門(データインテグリティ)

今週は、FDAのWarning letterが1通掲載されました。今回の対象会社は、中国のAPI製造施設です。データインテグリティの問題が指摘されています。製造領域でのデータインテグリティの指摘もありますので、社内でディスカッションする事例になると思います。

指摘は、1)OOS調査; 2)品質部門(データインテグリティ)に関する2項目です。


WL#: 320-18-61
日付: 2018年6月27日
発行オフィス: CDER
対象会社: Zhuhai United Laboratories Co., Ltd.(中国)
対象品: API
査察期間: 2017年9月11日~15日
回答受理日:2017年10月6日
GMP違反:2項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm612885.htm


 

<指摘事項の解説>

 

1.この会社は、OOS結果を適切に調査していませんでした。

査察官の調査によれば、この会社には適切な調査の手順書がありませんでした。そして、OOSの結果を無効にするための科学的正当性がありませんでした。

簡単な調査で、サンプル瓶が十分洗浄されていなかった可能性があると述べていたました。しかし、試験室のエラーを特定しておらず、正当性のないままOOS結果を無効にしました。当該バッチ〔複数〕は、出荷されました。

FDAは、仮定(assumed)の試験室エラーをもとに合格の結果を受け入れて、オリジナルの不合格結果を無効にして、調査を結論付けるのは不適当(insufficient)であると述べています。

 

2.品質部門は、重大な逸脱が調査されて、解決されていることを保証していませんでした。

クロマトグラフィーの分析データの不正行為(例えば、データの削除、サンプルのトライアルインジェクション、監査証跡がない)に関する2015年の回顧的なレビューから、この会社は適切に調査していませんでした。また、データインテグリティの欠陥が見られたときに、十分な拡大調査をしていませんでした。そして、是正処置はデータインテグリティの重大な逸脱の再発を防止できていないことから、この会社の調査は不十分であるとしています。そして、査察官が観察した例をあげています。例えば、この回顧的な調査後にも、初回のクロマトを削除していました。

無菌製造の領域についても、データインテグリティの問題がありました。グレードA区域の除染サイクルの電子データは上書きされて、保持されていませんでした。この会社は、紙のデータとして記録を残し、電子データは上書きされていました。

(..)φ;電子データとして保持できないのであれば、どこかにキャプチャーしておく必要がありますね。製造関係のデータインテグリティの事例です。自動化されたシステムは、今後このように指摘されるのではないでしょうか。キーワードは、メタデータ(監査証跡)だと思います。独り思うのですが、包装ラインのCCDカメラによるラベルのインスペクションの電子記録は保持しているでしょうか…。