教育訓練担当者養成講座1:プロローグ

こんな題名をつけました。「養成」は余分だったかな。題名付けたはいいんだけど、後で省みるといつも名前負けしているなあと思うんですよね。だから、今回もそうなるかも、と事前にお断りしてスタートです。

この講座は、教育訓練担当者を育成する時間とコストの余裕がない比較的スケールの小さい(真面目な)企業の教育訓練担当者を対象にしています。大手企業は、いざとなればその余裕があるので、この講座は必要ないですね。もちろん、セミナー講師のための講座でもありません。

GMPの教育訓練は、規則で定められた直接要件であり、その重要性は計り知れないものがあります。なぜなら、GMPは医薬品の品質と安全性を確保し、社会的弱者である患者の健康と生命を守るための最も基本的な枠組みだからです。

そのGMPの知識を欠いて医薬品を製造し市場に送り出すことは、品質と安全性を無視し患者の生命を軽んじた行為と言えます。極端に言い過ぎたかもしれませんが、「死んていない」、「苦情が来ていない」、「どうせわからない」というような安易な気持ちで医薬品を製造して、商ってほしくないと思っています(個人的な思いです)。

これは、ブランド品の偽物を作って売っている闇の商売と変わりありません。少なくとも、日本の医薬品製造所ではそのようなことがなく、世界に模範を示すことができる勤勉で正直な人たちが心を込めて作った医薬品であってほしいと思います。

GMPの教育訓練は、製品の品質と安全性を確保するためだけではなく、企業の信頼性を維持し高めるためにも不可欠の要素です。事業所で働く職員一人一人がその重要性を理解し、継続的な教育訓練を受けることで、高質で安全な医薬品を提供し、社会に貢献する礎を築くことができるのです。

なんだか檄文のようになってしまいました。少し気持ちを入れすぎたので、ここで頭を冷やすことにします。

EU GMPやPIC/S GMPが言っているように、医薬品の品質は人にかかっています。ですから、その精神を育み人材を育てる役割を担う教育訓練担当者は、大変重要な職責を有する人たちです。

教育訓責任者、または責任者から権限とともに任された業務を行う適格者(以下、教育訓練担当者等という)は、いろいろな技能が求められる有能な人でなければなりません。

私は有能じゃないですと思っている人もいるかもしれませんね。はじめから有能な人はいません。生まれてすぐにGMPをそらんじて、大人に教えさとす赤ちゃんはいませんよ。一つずつ学んで適切な能力をつけていきましょう。