GMPを勉強しよう(深堀りGMP 15)第15条逸脱の管理:まだ肉付け中

6と7は原因究明とCAPAという大きな項目です。肉付けというより、肉塊です。ここは要点を記述するにしても、かなりのページ数を必要とします。個人的には、参照をつけて下位の手順書に落とし込むのが良策だと思います。

6と7はGMP省令関連の文書には具体的なことが書かれていませんので、次の拠り所とするPIC/S GMPを確認してみましょう。

PIC/S GMP 1.4(xiv)にこのような記述があります。「これは、品質リスクマネジメントの原則を用いて決定することができる。問題の本当の根本原因が特定できない場合は、最も可能性の高い根本原因を特定し、それに対処することを考慮すべきである。ヒューマンエラーが原因として疑われる、または特定される場合は、プロセス、手順、またはシステムに基づくエラーや問題の存在を見過ごしていないことを保証して、正当化すべきである。 適切な是正措置および/または予防措置(CAPA)を特定して、調査に応じた対応をすべきである。このような措置の有効性は、品質リスクマネジメントの原則に沿って、モニ タリングし、評価すべきである。」

また、同様のことがPIC/S GMP 8.16‐8.19に記述があります。8.16-8.18は前述の文章を分解したものです。8.19は、根本原因分析とCAPAの記述として「品質不良記録を照査し、注意が必要な特異的なまたは再発の問題の兆候についてトレンド分析を定期的に実施すべきである。」と書いています。

前述の内容をまとめると、4つのポイントが見えてきます。2つは6の調査に関して、2つは7のCAPAに関してです。

6.原因究明に関する記述:
1)原因究明に際しては、根本原因を特定します。根本原因を特定できない場合は、最も可能性の高い推定原因を特定して、それを取り除く是正措置が必要です。

2)ヒューマンエラーは最後まで残る推定原因ですが、安易に原因として特定してはいけません。ヒューマンエラーを推定原因とする場合は、プロセス、手順、システムのエラーが無いことを保証する必要があります。これは、英国の査察(MHRA GMP Inspection Deficiency Data Trend 2016)にも指摘事例が出ています。

7.CAPAに関する記述:
3)根本原因または推定原因のCAPAを実施したら、モニタリングをしてその効果を評価する必要があります。

4)特異的な問題や再発問題について、定期的にトレンド分析を実施する必要があります。

これらのことを逸脱管理手順書に記載するよりは、関連文書として詳しい「調査の手順書」と「CAPAの手順書」を作成して、紐づけておくのがよいように思います。

さあ、どんな内容を書いたらいいのでしょうか。省令関連の文書もPIC/S GMPも、私たちに「これをすれば良い」という十分な具体的情報を記述していません。すなわち、ケースバイケースなので、私たちの裁量で作文していくことになります。裁量とはいえ、注意しなければならないのは、管轄当局が納得する論理的な裏付けが必要になることです。私たちが決めますが、それが妥当かどうか評価するのは管轄当局であるということです。

6と7は、リスクアセスメントも含めて、どこかで深堀りする必要があるかなと思っています。教育訓練担当者向けというよりは、品質保証部門向けの話になるので、別のところかな。