真菌の汚染により回収された経口液剤の背景情報

FDAのサイトに掲載されている「経口液剤のリコール」の背景について議論されていましたのでちょっと紹介します。この経口液剤は、契約製造業者が製造したものです。真菌の汚染により、2ロットが回収されました。汚染菌はScopulariopsis brevicaulisです。この菌は、土壌や空中に存在する真菌です。内容を確認したい方は、このウェブサイトを御覧ください。

https://www.fda.gov/Safety/Recalls/ucm586452.htm?utm_campaign=Sun%20Pharmaceutical%20Industries%20Inc.%20Issues%20Voluntary%20Nationwide%20Recall%20of%20Riomet%C2%AE&utm_medium=email&utm_source=Eloqua

 

これに関することが、メーリングリスト上で議論されていました。ある人は、「出荷判定時には菌数が少なく(<100cfu/g)平板で検出できなかった」のではないかと推論しています。そして、「製品中のパラベンは静真菌作用(fungistatic)だけなので、12ヶ月の保管中に増殖した」ものと想像されています。

またある人は、2つの仮説を立てました。1つは、製品に使用したパラベンが低濃度であったこと。そして、経時的に分解していった可能性です。もう一つは、パラベンがScopulariopsis brevicaulisに対して抗菌活性がないことです。即ち、全てのカビ(mold)に対して有効であるとは限らないということです。

そして、ある人が経口液剤のパラベンの濃度を少なくしようとしたときの経験を書いていました。

「初期カウントはOKだった。保存効力試験法であるUSPのAETはOKだった。欧州局方のEAPは、Aspergillusが合格しなかった。6ヶ月の安定性では、20%の容器にカビ(Penicillum sp.)が目視で確認された。」

とのことでした。

参考:
1)メーリングリスト[PMFLIST] :Oral Solution Recall due to Soil Borne Fungus Scopulariopsis brevicaulis
2)FDA:Sun Pharmaceutical Industries Inc. Issues Voluntary Nationwide Recall of Riomet® (Metformin Hydrochloride Oral Solution) Manufactured by a Contract Manufacturer due to Microbial Contamination, https://www.fda.gov/Safety/Recalls/ucm586452.htm?utm_campaign=Sun%20Pharmaceutical%20Industries%20Inc.%20Issues%20Voluntary%20Nationwide%20Recall%20of%20Riomet%C2%AE&utm_medium=email&utm_source=Eloqua