コストプレッシャーがGMP遵守の欠陥につながる…

ECAEuropean Compliance Academy )という協会があります。ここのGMP Newsに、「コスト〔上昇〕のプレッシャー」がGMP遵守の欠陥や医薬品不足につながっているという記事(”Is Cost Pressure becoming the Main Reason for GMP Non-Compliance and Drug Shortages?" ECA web site, 28/09/2016)がありました。

理屈をまとめてみると以下のようになります。

・空洞化と資源の劣化がGMP非遵守を招き医薬品不足につながる

<コストが上昇する>→<コストプレッシャに敏感なAPIやジェネリックが海外に出ていく>→<国内の製造施設が減る>→<APIの供給源、製剤の製造施設が制限される>→<さらに製造にコストプレッシャがかかる>→<製造コストの低減を図る>→<施設や人の教育訓練の投資が減る>→<職員の仕事と責任が増える+GMP実行能力が下がる>→<品質のリスクが高まる>→<査察で指摘される>→<資源不足により改善できない>→<警告書(FDA)や非遵守報告(EU)が発行される>→<当該施設で製造できなくなる>→<代替ができず医薬品不足となる>

この文章は、「データインテグリティの問題」を例にあげて、故意にデータの改ざんや削除を行う会社と、GMP遵守に問題はあるが遵守履歴や品質文化のよい会社は、分けて扱われるべきであると言っています。ちょっと視点がずれてきているように思いますが、最後に「FDAが提案する品質メトリクス」がそれを見分ける良いツールになると結んでいます。

私がこの文章を参照した理由は、コストをセーブするために施設や人への投資が減ると、多分それを上回るコスト増(遵守のためのフォローアップ)につながる懸念をお伝えしたかったからです。