FDA Warning letter(査察妨害)

なぜこんなことをしたんだろう?よりによって、査察妨害でのレターとは…。

私は、日本の企業に出された警告書については、原則紹介しないというルールを自分に課しています。ですから、ここで文書は紹介しません。

しかし、一言皆さんにお伝えしたいことがあります。

この会社が何を製造して、米国に輸出していたかは知りません。ですから、この会社のことを書くのではなく、非製薬会社の皆様に一般的にお伝えしたいことを書かせていただきます。

GMPはISOと異なり、法律です。また、日本と米国ではGMPが異なります。例えば、添加剤は米国では(法律としての)GMPが適用されます。一部の化粧品も、米国では医薬品として扱われます。これらのFDA査察は、医薬品GMPにもとづいて行われます。最近、国際調和のため、ISO9000をもとにした添加剤GMPの自主基準が出ましたので、少しやりやすくなると思いますが、まだドラフトの段階です。

FDA査察官は、FDAのIOM(Inspection Operation Manual)にもとづいて、査察を行います。また、最近はこのようなことをすると「査察妨害」と見なされ、警告書発行の対象となることをガイダンスで知らせています。このような情報は、FDA査察を受ける前に知っておく必要があります。

オリジナルが製薬会社ではなくても、医薬品、原薬、重要中間体を製造している会社は、ISOだけでなく、是非GMPを学んで、査察に関する知識をつけて臨んでいただきたいと思います。(写真を撮影する権限を持っていることもIOMに書かれています)

以前、私はISO9000の審査員コースをあるコンサルタント会社で受講しました。本格的に審査員になるつもりはなかったので、審査員補の資格だけ持っていた時期があります。そのコースでは、ISOの条項をもとに、「それ以外の文書は作らなくても良い」、「〜は、監査員に見せなくてもよい」などと教えていました。

もしこれをFDA査察官の前で実行したら、「査察妨害」で警告書が発行されることになるでしょう。

皆さんに、FDA査察対応の準備として、GMPを解釈し、"IOM"を読んでいただきたく、お願いする次第です。