EUガイドライン要旨:医薬有効成分のGDP,05/02/2013パブリックコメント用ドラフト

“Guidelines on the principles of Good Distribution Practices for Active Substances for Medical Products for Human Use,05/02/2013”パブリックコメント用ドラフトの要旨

作成者注(“..)φ1:Distributorを流通業者と訳した。(Distributorは、製造業者と消費者間に存在して、製品を流通させる業者の総称です)

作成者注(“..)φ2:Active substanceを有効成分と訳した。

作成者注(“..)φ3:これは概要を理解するための参考文書です。 翻訳文書ではありませんので、正確な解釈は原文(英語)を参照ください。

 

適用範囲

1.

Ÿ   このガイドラインは、人用医薬品の有効成分の流通(調達、輸入、保管、供給、輸出)に関して定めている。

2.

Ÿ   再包装、再表示、小分けは製造行為で、GMPの対象となる。

 

品質システム

3.

Ÿ   流通業者は、責任、プロセス、リスクマネジメントの原則を定めた品質システムを構築し、維持すること。

4.

Ÿ   品質システムは、能力を有する人員、適切で満足な建物、装置、施設を有すること。

5.

Ÿ   流通業者の活動の範囲、構造、複雑性を考慮した品質システムを構築すること。

 

人員

6.

Ÿ   各配送拠点に代表責任者を置くこと。

Ÿ   品質システムを実施し、それを維持すること。

Ÿ   個人の責任を遂行すること。

7.

Ÿ   有効成分の保管、取扱いは、適した能力を有する人が行う。

8.

Ÿ   従事する業務の訓練を記録すること。

 

文書化

9.

Ÿ   すべての文書は、当局に提示可能なこと。

Ÿ   電子文書でもよい。

10.

Ÿ   有効成分を扱う流通業者は登録されていること。

 

手順

11.

Ÿ   有効成分の品質に影響する行為は、手順書を作成する:

Ÿ   受取と配送のチェック、保管、建物のクリーニングとメンテナンス(防虫防鼠を含む)、保管条件の記録、販売可能保管品からの取り消し、保管品及び輸送品のセキュリティに関する手順書。

Ÿ   品質システムの責任者の承認と署名と日付。

 

記録

12.

Ÿ   記録は、実施時点で記録すること。

Ÿ   最低5年間保管すること。

13.

Ÿ   記録は、注文及び販売ごとに保管すること。

Ÿ   注文日または供給日、有効成分名、バッチ番号と受取量または供給量、製造元の名前と住所を記録すること。

Ÿ   記録は、全供給業者や供給品を特定できるように、製品の起源と行先のトレーサビリティーがとれること。

Ÿ   文書は以下の項目を含み、保管されること:

  • 製造元の識別
  • 製造元の住所
  • 注文書
  • 貨物、輸送、配送記録の明細
  • 受領書
  • 有効成分の名称または指定
  • 製造業者のバッチ番号
  • 製造元のCOAを含む、すべての正式(本物)なCOA
  • リテスト日または有効期限

 

建物と設備

14.

Ÿ   建物と設備は、有効成分の管理、保護(麻薬など)、配送を保証できる適切なものであること。

Ÿ   モニタリング機器は、校正されていること。

 

受取

15.

Ÿ   受取区域は天候に影響されないこと。

Ÿ   受取区域は、保管区域と分離されていること。

Ÿ   入荷品は、容器の損傷、シールのはがれ、注文通りであることを検査すること。

16.

Ÿ   特定の保管法の対象となる有効成分(麻薬、温湿度が特定された製品など)は、手順に従って直ちに処理すること。

17.

Ÿ   偽造品と疑われるものは、当局に報告すること。

 

保管

18.

Ÿ   有効成分は通常、他の製品と分離し、製造業者の指定した条件下(管理された温湿度)で保管すること。

Ÿ   これらの条件は、定期的にモニタリングし、記録を保管すること。

Ÿ   記録は、品質システムの責任者がレビューすること。

19.

Ÿ   温湿度の保管条件が特定されている場合、逸脱したことを示すような記録計や機器を保管区域に設置すること。

Ÿ   全保管区域が温湿度の特定範囲内を維持するように、適切に管理されること。

20.

Ÿ   保管施設は清掃されて、ごみ、汚れ、害虫がないこと。

Ÿ   流出物、破損、微生物や交叉汚染は適切に予防すること。

21.

Ÿ   在庫回転システム(FEFOまたはFRDFO)が正しく実施されていることを、日常的に頻繁にチェックすること。

Ÿ   有効期限を過ぎたものは、使用可能な保管品と分離し、供給されないこと。

22.

Ÿ   シールがはがれたり、箱が壊れたり、汚染が疑われるような有効成分は、販売用保管をやめる。

Ÿ   もし直ちに破壊できないようなら、誤って販売したり、他の製品を汚染させないように、明確に分離された場所で保管すること。

23.

Ÿ   欠品をきたした場合は、登録輸入業者は被害を被る関係顧客に通知すること

 

顧客への配送

24.

Ÿ   EU圏内の供給は、有効成分の登録流通業者(Article 52a of Directive 2001/83/EU)、または許可された製造業者(Article 40 of Directive 2001/83/EU)に限る。

25.

Ÿ   有効成分は、以下のような方法で輸送されること:

  • 識別が失われないように
  • 汚染しないように
  • 流出、破損、盗難に注意して
  • 加熱・冷却、光、湿度、他の悪影響にさらされないように、微生物、昆虫、齧歯類の被害を受けないように

26.

Ÿ   有効成分を輸送する場合、流通業者は受託業者が理解して、適切な運送と保管条件に従がわせるように、契約すること。

27.

Ÿ   管理温度で保管が必要な有効成分は、適切で特別な方法で輸送すること。

28.

Ÿ   すぐに回収が可能さシステムを構築すること。

 

情報伝達

29.

Ÿ   流通業者は、有効成分の製造業者から受け取った、すべての品質および規制の情報を顧客に伝達すること。

30.

Ÿ   有効成分を顧客に供給する流通業者は、製造元の名前と住所、バッチ番号を提示すること。

Ÿ   製造業者のオリジナルのCOAのコピーを顧客に提出すること。

31.

Ÿ   流通業者は、依頼に応じて当局に、有効成分の製造元の身元を提示すること。

Ÿ   製造元は、直接又は製造業者の許可した代理店を通じて、当局に対応可能である。

32.

Ÿ   COAのガイダンスは、EU-GMP Part II セクション11.4を参照。

 

返品

33.

Ÿ   返却品は、識別して、隔離保管すること。

34.

Ÿ   流通時(返却、保管、出荷など)の条件が品質を疑わせるものは、破壊すること。

35.

Ÿ   以下のように流通業者の管理下に置かれた有効成分は、再販用として倉庫に返却してもよい。

  • 未開封で良い状態のもの
  • 適切な条件で取り扱われ保管されたもの
  • 使用期間が残っているもの
  • 権限所有者が検査・評価したもの

36.

Ÿ   この評価は、有効成分の性質、特別な保管条件、供給されるまでの経過時間に関して実施されること。

Ÿ   特別な保管条件が規定された製品には、特に注意を払うこと。

Ÿ   必要に応じて、有効成分の製造業者の助言を仰ぐこと。

37.

Ÿ   返品された有効成分の記録を保管すること。返品ごとに、以下を含めて文書化すること:

  • 荷受人の名前と住所
  • 有効成分のバッチ番号と返品数
  • 返品理由
  • 返品有効成分の使用または破棄

38.

Ÿ   適切に訓練され、権限を有する者のみが返品有効成分を在庫に戻す意思決定をすることができる。

Ÿ   再販可能な在庫として戻された有効成分は、在庫回転システム(first expiry(re-test date) first out )で管理されること。(”..)φ:この用語は、先入先出法のようには、まだ日本語が定着していないようです。先切先出って語呂はいいですが、変ですね。

 

苦情と回収

39.

品質関連の全ての苦情(口頭、文書のいずれも)は、手順書に従って記録、調査すること。

40.

苦情記録にふくめる内容

  • 苦情を訴えた人の名前と住所
  • 苦情を提出人の名前、肩書、電話番号
  • 苦情の性質(有効成分の名称とバッチ番号)
  • 苦情受理日
  • 初期行動(実施者と日付)
  • 実施した全てのフォローアップアクション
  • 苦情者への回答(送信日)
  • 有効成分のバッチ又はロットの最終意思決定

41.

Ÿ   記録は、必要なら追加ですぐに是正処置をとるための観点から、傾向、製品ごとの頻度、重大性が評価できるように保管する。

Ÿ   これらの記録は、製品が出荷された国の当局に提出できること。

42.

Ÿ   流通業者は、顧客や当局がその後の開始すべき活動をとれるように、有効成分製造元と苦情をレビューすること。

Ÿ   苦情の原因調査や回収は、適切な組織によって実施され、文書化されること。

43.

Ÿ   苦情がオリジナルの有効成分製造業者に関係している場合、流通業者はその業者の対応(日付と情報)が記載され記録を保管すること。

44.

Ÿ   生命に脅威を与えるような事象の場合、地方、国、国際的当局に報告され、アドバイスが求められる。

45.

Ÿ   有効成分の回収を考慮すべき状況を明確にした手順書を有すること。

46.

Ÿ   回収手順は、情報の評価に関与する人、回収を開始する方法、回収の情報を受ける人、回収品の取り扱い方法を規定すること。

 

自己点検

45.

Ÿ   流通業者は、ガイドラインを遵守して実施していることをモニターするために、自己点検を実施して記録すること。