FDAガイダンス要旨: 非ペニシリンβラクタム医薬品:交叉汚染防止のCGMP枠組み, April 2013

Guidance for Industry: Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs: A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination (PDF – 212KB), April 2013の要旨

 

I. Introduction

Ÿ   このガイダンスは最終的に、製造業者が非ペニシリンβラクタムの製造に分離した施設を用いるべきであるとしている。∵交差反応による健康のリスクを引き起こすため。

Ÿ   非ペニシリンβラクタム医薬品も、ペニシリンと同じようタイプの過敏性反応を引き起こす可能性がある。

Ÿ   非ペニシリンβラクタムの製造業者は、ペニシリンと同様の交叉汚染防止の管理戦略を採用すべきである。

Ÿ   このガイダンスは、製剤、API、再包装の業者に対する情報を意図している。

 

II. Background

A. 規制の枠組み

Ÿ   CGMP § 211.42(c)は、「会社の作業で汚染または混同防止が必要なものは、分離区域または特定の区域またはその他の管理システムが必要である」と規定している。

Ÿ   ペニシリンに関しては、§ 211.42(d)で「人用のその他の医薬品で使用する施設と分離する」ことを求めている。しかし、ペニシリンの製造が隔離されていれば、建物を分ける必要はないとしている。

Ÿ   § 211.176で、「交叉汚染する可能性がある場合には、非ペニシリン医薬品の試験をして、ペニシリンが検出されたら販売しないこと」としている。

Ÿ   FDAはAPIのCGMPを発行していないが、ICH Q7をガイダンスとしている。そこには、「アナフィラキシーショックを起こす可能性のあるAPIは、最終製品の交叉汚染防止が重要である」としている。

Ÿ   ICHQ7は、ペニシリンやセファロスポリンなどの高感作性物質は、施設、空調、装置など専用の製造区域を提案している。

 

B. ベータ-ラクタム抗生物質

Ÿ   本ガイダンス発行時点で、FDAは34のベータラクタム化合物を有効成分として承認している。

Ÿ   ベータラクタム抗生物質は、次の5つのクラスに分類される。ペニシリン(アンピシリン、オキサシリン);セファロスポリン(セファレキシン、セファクロル);ペネム(イミペネム、メロペネム);カルバセフェム(ロラカルベフ);モノバクタム(アズトレオナム)

Ÿ   すべての非ペニシリンベータラクタムは、過敏性反応を起こす可能性がある。

Ÿ   非ペニシリンベータラクタムとペニシリンは、次のような類似例がある。アレルギー反応を引き起こさない最低投与量を特定することは難しい;動物やレセプターの適切な試験がない;アレルギー反応を起こす投与量の閾値は非常に低く、現行の分析法では検出は難しい。

Ÿ   アレルギーの試験は十分バリデートされていないので、ベータラクタム抗生物質の反応の発生や率を決めるのは難しい。

Ÿ   製造業者は、全ベータラクタム製品の交叉汚染リスクの管理ステップをとるべきである。

 

C. ベータラクタマーゼインヒビター

Ÿ   比較的弱い活性を示すものでも、複合剤として使われているので、インヒビターというよりベータラクタム抗生物質の過敏性反応の特性が見られる。

Ÿ   ベータラクタマーゼインヒビターに対してアナフラキシー反応を確認した症例報告はないが、これもベータラクタムで感作性であり、製造業者は他のベータラクタム製品と同様にベータラクタマーゼインヒビターの交叉汚染リスクを減少させるように管理するべきである。

 

D. ベータラクタム中間体および誘導体

Ÿ   ある種のベータラクタム中間体および誘導体は、同様の反応を示す。

Ÿ   ベータラクタム中間体は、通常APIの先駆物質である。APIへの変化の結果、中間体化合物はアレルギー反応を引き起こす。

Ÿ   例えば、6-APAはさまざまな側鎖をつけることで、すべての合成ペニシリンを形成する中間体となる。これは、6-APAはベータラクタムとチアゾリジンリングを含む。ベータラクタム環は不安定で、通常環が開く。6-APAは環が壊れて、ペニシロイルモイエティ(部)を形成するが、これがペニシリン炎症反応を起こす。6-APAの劣化もマイナーな抗原決定要因を形成する。6-APAは実際の構成ぶっちすではないが、アレルギー反応を引き起こす可能性がある。

Ÿ   誘導体は、予期せぬ副産物である。例えば、不純物や劣化物。ベータラクタム誘導体も、アレルギー反応を起こす可能性がある。ベータラクタムの製造工程は、健康に関する影響が知られていないベータラクタム中間体や誘導体を生成する。

Ÿ   これらの中間体や誘導体を生成する作業は、交叉汚染のリスクを低減する管理が必要である。

 

III. Recommendations

Ÿ   健康へのリスクがあるため、製造業者は交叉汚染防止のために、厳重な管理(分離を保証する施設の設計を含む)を構築すべきである。

Ÿ   FDAは、ペニシリンの製造施設の分離がCGMPであるとみなしている。FDAは、非ペニシリンベータラクタム製品も同様に扱うことを期待している。

Ÿ   特に次の2タイプの汚染を防止するように計画された、適切な分離と管理システムを提案している。(1)他の非ペニシリンベータラクタムによる非ペニシリンベータラクタムの汚染、(2)非ペニシリンベータラクタムによるその他のタイプの製品の汚染。

Ÿ   FDAは、あらゆるクラスの感作性ベータラクタムは、他の製品が製造されている区域から分離して製造すること、そして独立した空調システムを有することを提案している。

Ÿ   ペニシリンと同様に、非ペニシリンベータラクタムの製造専用の施設は、他の製品の製造区域から隔離(i.e., completely and comprehensively separated)されているべきである。

Ÿ   いずれのクラスの感作性ベータラクタムも、その他のクラスの感作性ベータラクタムおよびその他の製品の製造区域から分離されているべきである。

Ÿ   特定のクラスのベータラクタム(セファロスポリンファミリー)の製造は、施設や空調システムの分離が義務付けられていず、キャンペーン製造とクリーニングの十分な管理で製造可能である。

Ÿ   上述のベータラクタム中間体や誘導体は、アレルギー反応を起こす可能性があるため、交叉汚染のリスクがある。これらの物を扱う製造業者は、交叉汚染の可能性がある作業を評価し、それを低減する管理を行うべきである。