読んでおいてもよいかなと思う情報

GMP経営のブログで「コスト」について書くときに、必要な背景情報になると思い、つい読んでしまった。

ECAのGMP Newsに載っていた記事です。"Is Cost Pressure becoming the Main Reason for GMP Non-Compliance and Drug Shortages?" ECA web site, 28/09/2016

訳すつもりはなかったので、覚書のつもりで必要な部分を書き留めようと、自分流の文頭からダイレクトに日本語にする方法で書いていったら、いつの間にか、全文書いてしまいました。翻訳ではありません。覚書です。訳語もめちゃくちゃですし、助動詞もいい加減です。しかし、この方が通じるかなとも思いました。そこで、必要ないかもしれない情報ですが、載せることにしました。ちょっとデータインテグリティにも関係しますしね。話題になる記事であることは確かですね。

コスト〔上昇〕の圧力は、GMPの非遵守報告と医薬品不足の主な理由になりつつある?

FDAの警告書とEUの非遵守報告が、この頃増えています。EUの非遵守報告の発行は、以前よりも深刻になっています。しかし、何が理由なのか?

データインテグリティで逸脱が多発しています。これは、2つの領域をカバーしています。

まずは、不適切なコンピュータシステムとメンテナンスです。例えば、電子記録が正しく保管されていなかったり、削除されたりすることです。これは、ミスや不適切なシステムでも起きることです。

二つ目は、もっと深刻です、製造や品質管理の職員が、知識を持っていないことです。この人たちは、単にGMPの訓練を受けていないだけです。

データインテグリティの多くの指摘事項を通して、信用を失ってしまいます。これは、新しい話題ではありません。単に、GMPの知識が欠けているだけです。原則は、データの削除や修正を説明や元のデータを保管せずに行ってはいけないということです。さらに、どんな行動もタイムリーに記録する必要があります。それは、難しいことではありません。過去に、私たちが見た警告書はバリデーション手順や分析などを記述していました。しかし今の非遵守は、初期のGMP訓練を受けた各人が、回避する方法を知らなければならない、とても基本的なものです。

もう一つ、GMPの非遵守のトレンドは、製造コストにどんどんプレッシャーがかかっていることです。ヘルスケアシステムに関するコストは、どの国も増え続けています。その結果、低価格の医薬品は、よりプレッシャーがかかります。コストをセーブするために、さらに製造にコストのプレッシャーがかかっています。

はじめにAPIが、低コストの国に移動しました。その場所は、特にアジアです。次に、ジェネリック医薬品の製造が、同様の理由で移動しました。欧州と米国に残ったサイト(製造場所)は、コスト低減のためにプレッシャーがかかるようになりました。過去には、多くの国で多くの製造場所で、医薬品が製造されていました、しかし、今日では、コストの最適化のために、サイトが減っています。ときには、一つ二つのサイトが存在するのみで、APIはアジアのシングルソースからのみ入手可能です。もし査察官が残されたサイトでGMP問題を発見したら、すぐに医薬品不足につながります。なぜなら、他のサイトで行えるような、十分な能力が残っていないからです。これが、米国と欧州で起きている医薬品不足の主たる理由です。

スペインの査察官がつい最近査察したサイトは、EUGMPに従って製造されることが期待されていました。しかし、単純に十分な職員がいなかったため、それができませんでした。メキシコにあるAlcor工場の査察で、このような観察事項がありました。「その会社は、GMPを遵守する適切な施設、人およびマテリアルの資源を持っていなかった。合計29項目の欠陥が特定された。そのうち、8項目はメジャーに分類された。」

そして、その会社は査察で発見された問題を解決することができませんでした。査察報告書は、次のように記述しています。「会社は、2016年7月8日および29日に、是正処置計画を提案した。査察団はそれを評価して、2016年8月2日に次のように結論づけた。この会社はEUGMP要件を遵守できない、多くの注目すべき問題を持っている。一般的に、是正処置計画の提案は、主要な欠陥の是正を保証するには、不十分で、散漫で、処置の範囲が詳細に示されていない。特に、職員の不足は未解決のままとなっている。ある人たちの仕事と責任の蓄積は、品質へのリスクになっている。これは、EUGMPの遵守要件を適切に実施することを保証していない。」

よく似た問題が、FDAの警告書にも複数見られました。その多くは、データインテグリティの問題を含んでいます。適切なITシステムとIT手順(例えば、どのようにデータをアーカイブするか)の欠如に加えて、基礎的なグッドドキュメンテーションプラクティスの原則に関する多くの問題があります。会社は、人とその教育訓練に投資しませんでした。そのため、幾つかの警告書には、標準的な「データインテグリティ改善」要件が含まれていました。以下の様なものです。

「貴社のデータインテグリティを保証するためにデザインされた、手順、プロセス、方法、管理システム、マネジメントの監督、および人事(訓練、人員配置の改善)の活動と強化を述べた長期的な対策」

私達がこれら二つのトレンドを一緒に持っていれば、製造コストを削減するためのプレッシャーが、施設や職員を必然的に削減する活動につながる証拠を見ることができます。コストセーブのために、残された職員は、多分全ての仕事を実行することはできないでしょうし、GMP訓練を受ける機会も少なくなるでしょう。優秀な査察官は、このトレンドを簡単に見つけることができます。訓練記録と未完の是正処置計画を見ることで、その問題を発見するには十分です。

ここから逃れる道は何か?一つのシナリオは、根本原因に関するGMPの問題を評価することかもしれません。GMP遵守の問題はあるが、遵守の履歴が優良な会社は、基本的なGMPの問題(例えばGDP)に違反している会社と分けて、異なる扱いを受けるべきです。もし会社がデータを改竄、(ミスではなく)意図的に記録を消去したら、この会社は遵守履歴や品質文化の優れている会社に比べて、より深刻な状況に直面しなければなりません。FDAが提案しているような品質メトリクスは、違いを明らかにするツールになりえます。解決は決して容易ではありません。しかし、私たちは患者の安全を守るために、このことに務める必要があります。