「設備の清浄確認」 — FDA査察から見た目のつけどころとチェックポイント

今回紹介するのは、FDAが2026年1月7日付でWinder Laboratories, LLC(米国)に発行したWarning Letterです。同社は錠剤を中心とした固形製剤の製造業者で、2025年7月から8月にかけてFDA査察を受けました。原文はFDAの公式サイトで公開されています。ブラウザの翻訳機能を使えば、日本語で読むことができます。

このWarning Letterでは、「設備の洗浄・保守管理の不備」(21 CFR 211.67(a)および(b))が指摘されています。査察官が現場で確認したのは、「洗浄済み・使用可」として品質部門が承認したはずの製造設備に、目視で確認できる製品残留物や酸化した金属表面が残っていたという事実でした。専用設備でも、同様に残留物、酸化金属、異物が確認されています。

さらに、同社では品質部門が出荷判定した製品のボトル内に、異なる規格の錠剤が混入していた事例もありました。FDAは、これが使用前のラインクリアランス不十分に関連している可能性を示しています。また、査察中には金属検知機が機能していないことも発見されました。保守管理の不備は、混入の検出・防止能力を損なうものであり、実際に密封された製品ボトルから金属性のネジが発見されています。

ここでFDAが見ているのは、単に「洗浄手順があるか」「記録が残っているか」ではありません。むしろ、「洗浄が実際に機能しているか」「品質部門の確認と承認が、実質的な判断になっているか」という点です。SOPに手順が書かれていること、記録があること、品質部門が承認していることだけでは、「清浄である」ことの証明にはなりません。

査察官の思考プロセスを推論すると、次のようになります。

「洗浄済み」と記録された設備に残留物と酸化金属がある。
では、洗浄手順が有効でないのか。
それとも、手順どおりに実施されていないのか。
さらに、それを品質部門が承認している。
では、確認方法そのものが不十分なのか。
承認が形骸化しているのか。
しかも、同様の指摘は2018年、2022年、2023年の査察でも繰り返されている。
そうなると、個別ミスではなく、洗浄プログラム全体の構造的欠陥ではないか。

この指摘の本質は、「汚れていた」という事実だけではないように思います。むしろ、「洗浄されたと判断するプロセスが機能していなかった」という、品質システム上の問題と捉えるべきでしょう。

品質部門の「洗浄の確認と承認」は、何を根拠に行われているでしょうか。洗浄記録の確認だけでしょうか。現場での目視確認だけでしょうか。それとも、ワーストケースの設定、洗浄バリデーション、継続的な検証に裏打ちされた判断でしょうか。

日常の確認作業では、「バリデーションしてあるから大丈夫」と過信しない。設備の清浄確認には、そのようなメッセージも含まれているように思います。考えすぎでしょうか。

▢ 記録を確認したから承認した 
▢ 清浄と判断できる根拠を確認したから承認した
あなたなら、どちらを選びますか。

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