FDAのWarning letter(無菌製品の製造手順211.113(b))WL# FLA-17-06
今回は、先週FDAのホームページに掲載されたWarning letterの中から、セクション211.113に関連する指摘事項と、FDAの期待する所を見ていきたいと思います。
例にあげた今回の対象会社は、アメリカの製剤製造施設です。この査察では、製造施設の他に、別の場所にある本社、倉庫、メディアフィルの培養ルーム、文書保管庫を調査しています。当該セクションの指摘には、無菌試験の陽性結果の処理、施設のメンテナンス、殺菌消毒プログラムなどが記述されています。Warning letterの情報は、以下のとおりです。
WL#: FLA-17-06
日付:December 23, 2016
発行オフィス:Florida District
対象会社: Horizon Pharmaceuticals, Inc.
対象品: 無菌製品
査察期間:2015年10月27日~11月5日
回答受理日:2015年11月28日付
CGMP違反:3項目
掲載サイト: http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm536715.htm
<指摘事項の解説>
1.貴社は、無菌工程および滅菌工程のバリデーションを含む、無菌医薬品の微生物汚染を防止するように計画した適切な手順書を作成し、実施しなかった。(21 CFR 211.113(b))
貴社は、医薬品の汚染を防止するための適切な管理が欠けていた。
2014年19月に製造されたSaljet点眼薬3ロットの無菌試験は、幾つかのボトルが無菌ではなかったことを確認した。貴社は、汚染菌をBacillus mycoidesと同定した。この陽性結果を無効にする科学的根拠がなかったにもかかわらず、貴社は再試験をして、この3ロットを出荷した。
査察では、顕著な微生物汚染リスクの欠陥が見られる複数の実践を、施設内で観察した。たとえば、洗浄および消毒プログラムは、殺胞子剤を使用していなかった。ここで重要なのは、無菌試験の失敗で芽胞菌が見つかったことである。さらに、施設のメンテンナンス状態の悪さも見られた。たとえば、クリーンルームの天井にパイプのリークが見られたこと、バッチタンクの部屋の床は欠けたりひび割れたりしていたこと、原料投入口の隣のタンクの上には、ホコリや青や黒の微粒子が見られたことである。
我々は、洗浄消毒プログラムを改善するために、殺胞子剤を追加する貴社の約束を認める。しかし、貴社の対応は、施設と装置のメンテナンスプログラム全体の効果を十分査定する約束を欠いている。また、製品の無菌性の危険源となる作業の、潜在的な脆弱性を特定して、取り組むための、無菌製造作業の完全なレビューの実施を約束しなかった。
貴社の対応は、これらの問題を全て徹底的に取り組まなければならない。無菌製造施設と加工ラインの変動要因の包括的な評価を、CAPAの計画に入れるべきである。貴社の回答は、出荷された他のロットにも影響があるかどうか検討する必要がある。