FDAのWarning letter(無菌製剤の粒子汚染)WL320-17-19

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、イギリスの無菌製剤の製造施設です。筆頭に上げられている欠陥は、「粒子の汚染」でした。この査察は2016年に実施されましたが、2015年の査察でも同様のCGMP違反があり、類似の違反行為が予防されていなかったということになります。そのため、FDAはマネジメントの監督および管理の文才を指摘しています。(原文:These repeated failures demonstrate that management oversight and control over the manufacture of drugs at your facility is inadequate…) 

ホームページアップデート日:20170125
WL#: 320-17-19
日付: 20170119
発行オフィス: CDER
対象会社: Porton Biopharma Limited(イギリス)
対象品: 注射剤(凍結乾燥品)
査察期間:20160307~18
回答受理日:20160408/20160916
CGMP違反:製剤に関する違反2項目、原薬に関する違反1項目
掲載サイト: http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm538105.htm

<指摘事項の解説>

以下の文章は要約で、翻訳ではありません。内容が変わらない程度に意訳しています。

1.バッチの出荷のいかんにかかわらず、貴社はバッチや原料の規格を満たさないまたは説明できない矛盾を徹底的に調査していない。(21 CFR 211.192)

品質部門は、注射用Erwinaze凍結乾燥粉末の幾つかのバッチで、微粒子が規格を超えたことを確認した。

貴社は、これらの微粒子を適切に調査しなかった。例えば、バッチCAMR171(20150422に開始された不一致調査CN16305)の237本から検出された目視可能な微粒子の調査では、栓の供給業者の工程で発生した金属粒子の可能性が確認された。しかし、その時点で是正されたのは、最終製品の却下基準に外来物質のサブカテゴリーを追加して、貴社のSOPを更新しただけだった。貴社のCAPA計画は不適切だった。FDA483への回答に書かれているように、査察が終了するまで、入荷する栓の管理方法や供給業者の栓の製造工程を調査しなかった。

貴社は不一致調査を開始して、その多くが栓の供給業者の製造工程由来と見られる金属粒子である、微粒子を再び識別した。しかし、調査は不完全で、今回の査察があるまで実施されていなかった。

貴社は、凍結乾燥製品からファイバーも検出した。これは、後でダンボールか紙の繊維であることが同定された。この無菌製品の異常な汚染源について、適切な調査をしなかった。

貴社が提示したCAMR178のバッチ記録は、目視可能な粒子を含んでいた記述があった。バッチCAMR179 は、タンパク質性の粒子を含んでいた。貴社の調査で栓とは別の汚染源であることが確認され、貴社の汚染防止能力に問題があることが疑われる。 

FDA-483 の回答では、栓の供給業者は微粒子を低減するために、装置と施設をアップグレードし、貴社は栓のサンプリングを○%まで増やしたと述べている。

我々は、貴社が栓の代替供給業者を検討していることを認める。しかし、貴社の回答書を基にすると、貴社は代替業者の栓の使用可能性について、適格性評価を完了していない。我々は、貴社が代替供給業者を完全に適格性評価するまで、リスク低減のための追加的なCAPAを考慮することを勧める。

貴社の注射剤の外来汚染物質のハザードを解決するためのCAPAは、迅速かつ十分ではなかった。

いろいろな目視可能の粒子が継続的に存在しているErwinazeのバッチは、製造の故障モードの可能性の査定が不十分で、最終製品の目視検査に過度に依存している証拠である。

さらに貴社は、例えば、繊維またはボール紙などの粒子を含めて、しかしこれだけに限定するわけではないが、個々の欠陥の分類について、適切で厳密なアクションリミットを持っていない。