FDAのWarning letter(無菌API)20170105

FDAのWarning letterが掲載されました。

今回の対象会社は、インドの無菌原薬製造施設です。無菌APIの指摘は、久しぶりですね。無菌APIは、製剤と同等のGMPが適用されますので、指摘事項には製剤GMPのセクションが参照されています。また、ガウンの指摘も注目してみましょう。

■ホームページアップデート日:2017年1月4日
WL#:320-17-13
日付:December 23, 2016
発行オフィス:CDER
対象会社:Wockhardt Limited
対象品:無菌API
査察期間:December 7 to 15, 2015
回答受理日:January 15, 2016
CGMP違反:5項目
掲載サイト:http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm534983.htm

<指摘事項の解説>

1. すべての無菌工程および滅菌工程のバリデーションを含む、無菌製品の微生物汚染を防止するように計画された、適切な手順書の作成、実施をしていなかった。(21 CFR 211.113(b))

ISO-5の層流(LAF)区域内での、装置の無菌接続の空気流分析(スモークスタディ)で、査察官は乱流を観察した。動的状態のもとで、エアーは無菌接続部のスウィーピング(sweep)を十分していなかった。そのため、これらの条件で加工された製品の無菌性が損なわれる可能性がある。

2. 医薬品を汚染から保護するための適切な着衣が保証されていない。 (21 CFR 211.28(a))

 フード、ジッパー、パンツの縫い目の糸がほぐれたガウンを着用していたのを観察した。そして、そのガウンで無菌APIなどを製造していた。無菌工程区域で使用していた10着のうち5着が、糸が緩んでいたり、ダメージが見られた。貴社の手順によれば、このようなガウンは廃棄することになっている。これらの過度な滅菌は、ガウンの繊維を破壊する。

3. 所定の規格や標準に適合することを保証するために必要な試験の完全なデータを含む、試験室記録を保証していなかった。 (21 CFR 211.194(a))

ガスクロのデータをレビューしているときに、原料のOOS試験結果を含む、未報告の結果を見つけた。このOOSの調査も、正式な記録から除外した説明もなかった。データインテグリティに関する指摘です。

4. 製造管理記録原本や他の記録の変更は、権限所有者のみが行えることを保証するための、コンピュータおよび関連システムの適切な管理を行わなかった。(21 CFR 211.68(b))

品質管理試験室で、バリデートされていない12台のコンピュータシステムを確認した。これらのシステムは、安定性チャンバー、UV、IR、TLCに使われていた。

5.  これは、APIの逸脱として指摘されています。実施時点で、同時に記録していないこと、もとの記録を破棄したことが指摘されています。データインテグリティの問題に関する指摘です。