FDA Warning letter(320-20-05):製剤(インド):装置の洗浄;調査;微生物汚染防止;環境モニタリング

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、インドの製剤製造施設です。このWarning letterには、非無菌(錠剤)と無菌(無菌工程)の指摘事項が入っています。

その中で、今日はトップに挙げられている装置の洗浄について紹介します。

指摘は、1)装置の洗浄; 2)調査; 3)微生物汚染防止; 4)環境モニタリングに関する4項目です。

WL#: 320-20-05

日付: 2019年10月29日
発行オフィス: CDER
対象会社: Cadila Healthcare Limited(インド)
対象品: 製剤(無菌&非無菌)
査察期間:2019年4月22日~5月3日
回答受理日:2019年5月24日
GMP違反:4項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cadila-healthcare-limited-584856-10292019

 

<指摘事項の解説>

1.この会社は、適切な間隔で装置や器具の洗浄、メンテナンス、消毒や滅菌を行っていませんでした(21 CFR 211.67(a))。

専用装置のクリーニング手順が不十分でした。査察官は、高活性とその他の化合物の生産に使用している複数の〔装置〕を観察しています。それらの装置は洗浄済みと表示されていましたが、異なる製品と思われる残留物が見られました。残留物は、製品切り替え洗浄後の背面で観察されました。それは、製品が処理される装置の内部と影響し合います。

(..)φ:すなわち、交叉汚染のリスクが高いということです。

重大な装置の欠陥(flaws)と洗浄の欠陥(deficiencies)により、医薬品間で交差汚染が発生します。たとえば、背面を検査またはクリーニングする規定がありませんでした。

査察後に、この会社は追加で非専用装置の残留物を観察しました。その結果、スワブサンプルから複数の活性成分が回収され、製品接触表面に目視で残留物が確認されました。

5装置から検出されています。

また、選択的に参考品を試験した結果、交差汚染の可能性が見られました。この会社は多数のサンプルを試験して、有効成分の存在を確認しています。Warning letterには10件の例がリストされています。

この結果、多数のバッチを回収することになりました。

この会社は、クリーニング手順の改訂、投資の機能変更、全装置のクリーニングバリデーション、前の製品のキャリーオーバーの可能性を定量化するために参考品のさらなる試験を含む、非専用装置のCAPAを約束しました。

レビューの結果、この会社が特定した重大な交叉汚染は、患者へのリスクはないと結論づけました。(Your firm’s review concluded that the significant cross-contamination identified by your firm does not represent a risk to patients.

(..)φ:今まで結構読んできましたが、このような回答は、Warning letterになることが多いように思います。個人的に想像するに、FDAはこのような回答を嫌うのではないかなあ~?

FDAは、貴社の回答は不十分であると切り返しています。回答は、混入した残留物と次の製品の汚染物質はおおよそ均一に分布し、○のステップはキャリーオーバーした残留物の場所を最小限に抑えていると述べています。しかし、この根拠は科学的ではありません。交叉汚染は均一に分布すると仮定できないからです。

また、製品の二次汚染の試験によってキャリーオーバーの検出を保証すると述べています。しかし、参考品の試験だけで関連するリスクを軽減するのは不十分です。

FDAは、いろいろな勧告をしていますが、クリーニングバリデーションのワーストケースの条件をリストしてくれています。

(..)φ:ダーティホールドタイムも挙げていますので、改めて確認してみましょう。

・毒性の高い医薬

・薬効の高い医薬

・洗浄剤への溶解度が低い医薬

・洗浄が困難な特性を持つ医薬

・洗浄が最も難しい区域のスワブの場所

・洗浄前の最大保持時間