2026年度のFDA Warning Letter 5 — 原薬メーカーの16通を読む

2026年度の原薬(API)メーカー宛てのWarning Letterは16通でした。2025年度は13通です。製剤に比べると数は少ないのですが、指摘に特徴があるので、独立して取り上げます。

原薬には21 CFR 211が適用されません。そのため、レターには条項の引用がなく、FDAはICH Q7を判断の拠り所し、指摘には食品医薬品化粧品法が適用されると述べています。引用がないので分類は文面の語句に頼ることになり、製剤よりも粗い集計である点は、あらかじめお断りしておきます。

16通のうち最も多かったのは、品質部門の監督で9通(56%)でした。次がバリデーションの7通(44%)、調査と安定性がそれぞれ5通(31%)、データインテグリティと試験室管理がそれぞれ4通(25%)です。

製剤110通と比べると、こうなります。

品質部門の監督:原薬 56% / 製剤 55%
バリデーション:原薬 44% / 製剤 70%
調査:原薬 31% / 製剤 42%
原材料の試験:原薬 6% / 製剤 45%
建物・施設:原薬 0% / 製剤 21%

品質部門の監督は、製剤とほぼ同じ割合です。原薬でも製剤でも、品質部門が責任を果たしているかどうかは、同じように問われています。一方で、原材料の試験や建物・施設の指摘は、原薬ではほとんど出てきません。

見出しの指摘文を1件ずつ読むと、もう一つの特徴が見えました。16通の指摘49件のうち、品質部門の9件に次いで多かったのは、設備の洗浄に関するもので6件です。規格・試験方法の妥当性が5件、プロセスバリデーションと安定性が各4件と続きます。複数の品目を同じ設備で製造する原薬工場では、前の品目のキャリーオーバー、つまり交叉汚染への懸念が、製剤以上に前面に出るのだと思います。

日本にも、米国向けに原薬を供給している企業はあります。品質部門の独立と権限、設備の洗浄の二つは、原薬の査察に備えるときの出発点になりそうです。

※本稿の数字は、FDAウェブサイトの公開レター(2026年10月4日時点)を、本文の語句をもとに機械的に分類・集計したものです。指摘49件は、見出しの指摘文を読んで分類しました。多少の誤差が見込まれます。