「無菌操作テクニックとクリーンルームでの行動」−斜めから見たFDA査察の観察事項
Warning Letterに掲載された(21 CFR 211.113(b))に関する違反事項2で、クリーンルームの不適切な無菌操作テクニックについて、具体的な観察事項が示されていました。シルバーウィーク直前の息抜きに紹介します。
不適切な無菌操作テクニックとクリーンルームでの行動
(b)(4)ライン(b)(4)での充填作業中に、作業者が不適切な無菌操作を繰り返し行っていることが観察されました。観察事項は以下に示すものを含みますが、これらに限りません:
① 作業者は、詰まったボトルを取り除くために(b)(4)しながら、開口した(b)(4)ボトルの上方に手を伸ばした。
② 作業者は(b)(4)の消毒を怠った(例:無菌資材を取り扱う前、および異なる(b)(4)を使用する合間)。
③(b)(4)が(b)(4)のハウジングに接触し、開口した滅菌済みボトルへの一方向気流を遮断した。
④(b)(4)が、詰まったボトルを取り除くために使用した無菌ピンセットの無菌部分に接触し、作業者はそれらのボトルを(b)(4)に戻した。
⑤無菌コンポーネント(ボトル)を移送するために使用したバッグが、(b)(4)による操作前にISO 7環境にさらされ、(b)(4)ハウジングの内部に接触した。
⑥作業者は、この目的のために専用の器具を使用する代わりに、(b)(4)を用いて製造ライン下方に設置された廃棄物容器にゴミを押し込んだ。
ここからは、それぞれの場面を査察官が記録カメラの映像を見ている感覚で描写してみます。あくまで、想像です。
① 開口ボトルの上を横断する腕
充填ラインには、口を開けたままのボトルが整然と並んでいる。その列の奥で一本が詰まった。作業者は無造作に手を伸ばす。問題はその軌跡だった。作業者の腕は、滅菌済みボトルの口元の真上を横切って進んだ。一方向気流があるとはいえ、腕が直上を通過したその一瞬、皮膚片や繊維が落ちるリスクが生まれた。
② 消毒なしに次の作業へ向かう手袋
作業者が無菌資材のパッケージに手を伸ばした。しかし、その直前に70%IPAのスプレーをグローブに吹きかける動作がない。あるいは、ある作業を終えた直後に、別の(b)(4)へと手が移っていく合間に消毒するという手間がない。汚染の橋渡し役になりえるグローブが、次の接触面へとそのまま進んでいった。
③ 一方向気流の"防護の幕"が消えた瞬間
ボトルの口元を守るように、上方から清浄な一方向気流が流れている。この気流が無菌充填を成立させる見えないバリアである。ところが、何かがハウジングの内側に触れたその瞬間、気流の層が乱れ、開口したボトルへと向かうべき清浄な気流が途絶えた。バリアが消えた一瞬、そこにあるのは無防備なボトルの口元だった。
④ 汚染されたかもしれないボトルが、静かにラインへ戻る
詰まったボトルを取り出すために、作業者は無菌ピンセットを手に取った。ところがそのピンセットの先端の無菌であるべき部分が、何かに触れた。廃棄か、少なくとも再滅菌の判断が必要な局面だった。しかし映像の中で起きたことは違っていた。作業者はそのボトルを、何事もなかったかのようにラインへと戻した。汚染リスクの可能性があるボトルが、製造工程の中へに紛れ込んでいった。
⑤ バッグの外壁が、ハウジングの内部に触れた
滅菌済みのボトルを清浄区域へ持ち込むためのバッグがある。そのバッグが、適切な手順を経る前にISO 7の環境(グレードC相当)にさらされたまま操作されていた。さらにカメラが捉えたのは、そのバッグがハウジングの内壁に触れる瞬間である。外の汚染が、内側の清浄空間へと橋渡しされた。見えない汚染が境界を越えた瞬間だった。
⑥ 廃棄物に触れた「何か」が、また製造現場へ戻る
ラインの下方に廃棄物の容器がある。作業者が何かでゴミを押し込もうとしている。本来であれば廃棄物処理専用の器具を使うべき場面だった。しかし、使われたのは別の何か、これは充填作業に関わる何かだったかもしれない。廃棄物に触れたその「何か」が、次の瞬間、また清浄な作業環境の中へと戻っていく可能性があった。しかし、誰も気に留めず、作業は続けられた。
いずれも「単一の発生事象」ではなく、「repeatedly(繰り返し)」観察された行動です。それが、この指摘の最も重要な部分です。
今日はあえて事実は分からないものの、Warning Letterに書かれた内容を想像力を働かせて、描写してみました。イメージできたら、今日の目的は達成です。よい、シルバーウィークを!
(原文)
Poor Aseptic Technique and Cleanroom Behavior
Your operators were observed repeatedly exhibiting poor aseptic practices during filling operations on (b)(4) line (b)(4), including, but not limited to, the following:
・Operators reached over exposed (b)(4) bottles while (b)(4) to remove jammed bottles.
・Operators failed to disinfect (b)(4) (e.g., prior to handling sterile supplies and between use of different (b)(4)).
・(b)(4) contacted (b)(4) housing and blocked unidirectional air to open sterilized bottles.
・(b)(4) contacted sterile portions of aseptic tweezers used to remove jammed bottles, and operators returned those bottles back to the (b)(4).
・Bags used to transfer sterile components (bottles) were exposed to the ISO 7 environment prior to manipulation with (b)(4) and contacted internal portions of the (b)(4) housing.
・Operators used (b)(4) to push trash into a receptacle located below the processing line rather than using equipment dedicated for this purpose.
WARNING LETTER Reference number: 320-26-123
Bausch & Lomb Inc., MARCS-CMS 732398 — September 04, 2026
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/bausch-lomb-inc-732398-09042026

