ワークショップの課題を作ろう 第3回:ワークシートと教育としての意味
■課題用ワークシートには何を書くか
私なら、次のようなテンプレートにします。
| 区分 | 内容 |
| 必ず入れる | テーマ、目的、与件、設問、個人ワーク時間、グループ討議時間、発表方法 |
| できれば入れる | 参加者の役割設定、検討の視点、参考資料、発表時にまとめる項目 |
| 講師用に入れる | この課題で気づいてほしいこと、議論が止まったときの問い、想定される意見、講評ポイント |
| 入れすぎない | 答えにつながる解説、細かな法令引用、不要な背景情報、実際のFDA・当局・自社の結論 |
参加者用と講師用は、分けて作った方が便利です。
講師用には、参加者に見せない、「ここに気づいてほしい」、「この方向に行ったら、この質問をする」というメモを入れておきます。これは、ファシリテーターが複数いる場合には特に役立ちます。
■「よい問題」は、少し足りない
ワークショップの問題を作っていると、親切心から情報をたくさん入れたくなります。しかし、仕事の現場では、最初から必要な情報が全部そろっていることはあまりありません。「この情報だけでは判断できない」という結論も、立派な結論です。そして、「では、何を追加で確認しますか」と聞くことができます。
GMPの仕事では、正しい答えを知っていることだけでは、少し足りません。何が分からないかに気づき、必要な情報を取りに行くことも重要です。ですから、よいワークショップの与件は、少しだけ情報が足りないくらいでよいのかもしれません。もちろん、足りなさすぎると単なる当て物になりますので、注意しましょう。このあたりは難しいところです。ここも、経験が一つのファクターになるところだと思います。
■ワークショップは小さな模擬現場
こうして考えてみると、ワークショップの目的は、問題の正解を当ててもらうことだけではありません。もっとも、新人教育では、それも一つの目的です。
ここでは、もう少し経験を積んだ方を対象にして話を進めます。目的とするのは、
・事実を読む
・何か変だと気づく
・原因を考える
・不足している情報を考える
・他の人の考えを聞く
・自分の考えを修正する
ということです。
そして最後に、一つの結論としてまとめます。これは、実際の逸脱調査や苦情調査、リスクアセスメントで行っていることと、それほど違いません。
ワークショップは、小さな模擬現場と考えると、その構造がうっすら見えてきます。
さて、ここまでワークショップの作り方を考えてきましたので、次は前回のFreseniusの事例を、この方法に当てはめてみたいと思います。
……これは、失言かもしれないな(笑)。
- 腹膜透析液バッグのリーク
- 会社はリスクアセスメントを行っていた
- リスクマネジメント・マトリクスには腹膜炎という重大な危害もあった
- それでも、実際の評価では最も低い重大性が選択された
この事例という「事実」から、どんな「与件」を作るか。何をあえて書かないか。そして、参加者に何を考えてもらうか。
次回は、
個人ワーク → グループディスカッション → 発表 → 講評
まで含めた、実際のワークショップ課題にしてみたいと思います。(^_^)
やっぱり、言ってしまいました(笑)。
【第3回終了】

