ちょこ停の記録は

 包装工程のちょっとしたトラブルをちょこ停ということがあります。ちょこっと停止するからなのかな。その由来はわかりません。

 あまり頻繁にちょこっと停まるので、いちいち書いてられないと思う人もいるみたいです。そして、実際に書かない人もいるみたいです。

 これって、記録しなくてもいいのかなと思ったことはありませんか。でも、ラインの停止は、バッチ記録に記録する必要があります。発生したイベントは記録しなければなりません。バッチ記録は、それがどのように製造されたか再現できる状態でなければなりません。記録しなければ、発生していなかったということになります。それって、嘘ですよね。

 では実際に指摘されるのかというと、ここが微妙なところなのです。

 停止の長さに関する要件は多分無いでしょう。1秒なら記録しなくていいよ、というのはないわけです。でも1秒の停止を書く必要があるのか、本当にラインの停止と言えるのかというようなことは考えてしまいますね。

 どこを基準にしたらいいかというと難しい。とてもグレイな領域です。ライン停止の時間枠はないので、指摘はされないのかというと、「ライン停止について記録していない」という"Warning Letter"はいくつかみられますよね。状況に応じて、指摘されたり、指摘されなかったりするんだろうなということは想像がつきます。

 これは皆さんに勧める提案ではありません。

 しかし、どこに基準をおいたらいいかと考えておく必要があると思います。
 ルーチンのチェック(包装ラインでの調査:finishing operation)が中断するような停止なら記録する必要があるでしょう。例えば、30分に1回ラインでQCチェックを実施している場合、35分ラインが停まったら作業が中断します。これは明らかに記録が必要だと思います。

 警報が鳴ってパトランプが点滅している。誰かメカニックが介入しないと再始動できない状態なら、短時間であっても記録する必要はあるでしょう。人が介入するということは、ルーチンの作業ではないこと、エラーのリスクが発生する可能性があります。停止時間に関係なく、人の主要な介入は記録すべきではないかと思います。

 電源障害も停止時間に関係なく、必要でしょう。ラインが止まり、コンピュータなどが影響を受けているかもしれません。

 リスクアセスメントをして、基準を決めておく必要があると思います。リスクアセスメントという言葉は便利ですね。でも言いっ放しでは突き放すような言葉でもあります。なんとなく「良きに計らえ」みたいで中身がないというか…特に指導する立場にある人は、「どのようにリスクアセスメントするんですか」と聞かれたら、「例えばこれこれこのように」と答えられる時にだけ言葉にするようにしたいですね。

 そして、これが一番重要ですが、記録しなくてもよいと判断するものは、正当化する必要があるということです。