FDA Warning letter (320-20-27):OTC(ブルガリア):品質部門の責任と手順に注目してみました
今回の対象会社は、ブルガリアのOTC製造施設です。
今回は、品質部門の責任と手順に関する要件の一部に注目しました。
指摘は、1)出荷判定試験; 2)コンポーネントの確認試験; 3)品質部門; 4)安定性プログラムに関する4項目です。
WL#: 320-20-27
日付: 2020年2月28日
発行オフィス: CDER
対象会社: FICOSOTA LTD(ブルガリア)
対象品: OTC
査察期間:2019年9月2日~5日
回答受理日:2020年9月25日
GMP違反:4項目
掲載サイト:
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/ficosota-ltd-594591-02282020
<指摘事項の解説>
1.この会社は出荷前に適切な試験をしていませんでした(21 CFR 211.165(a))。
具体的には、OTC医薬品のラベルに表示されたAPIの確認試験と含有量の試験をしていませんでした。
2.コンポーネント〔医薬品の原料など〕の確認試験をしていませんでした(21 CFR 211.84(d)(1)&(2))。
試験をせずに供給業者のCOAを信頼していましたが、供給業者の試験の信頼性のバリデーションをしていませんでした。
3.品質管理部門(QCU)は、医薬品がCGMPを遵守していることを保証する責任を果たしていませんでした(21 CFR 211.22)。
(“..)φ:ここでは具体的に果たしていなかった品質部門の責任についてリストしています。
・APIと医薬品の承認および却下の責任
・出荷判定(release)試験の実施と承認
〔(“..)φ:品質部門が有する試験室での試験と出荷判定者の承認ですね〕
・安定した製造管理と医薬品の品質の一貫性を保証するための工程管理のモニタリングに関するプログラムの確立
〔(“..)φ:これにはよく出てくる典型的な文章です。一言でいうとプロセスバリデーションができていなかったことになります。重要工程パラメータの定義や特定がされていないので、プロセスバリデーションができていないことや、工程管理の継続的なモニタリングができていないことを述べるときの定型文です。すなわち、プロセスバリデーションのプログラムと報告書を承認していなかったのだと思います。〕
・詳細な製造ステップとパラメータが記載された製造指図書原本とバッチ製造記録の承認
・製品年次照査プログラムの確立
〔(“..)φ:ブルガリアのGMPには年次照査はないのかな?まだPIC/S には加盟していませんしね。EU GMPの製品品質照査も要件になってから日が浅いですし(アメリカに比べるとです)。〕
・OOSの手順を確立し、徹底的な調査をする
(“..)φ:これらの責任を果たしていなかったということで指摘されています。品質部門の責任は、これ以外にもありますが、1度GMP要件をまとめてみてはいかがでしょうか。
4.安定性プログラムが確立されていませんでした(21 CFR 211.166(a))。
OTC医薬品の長期安定性試験の手順がありませんでした。安定性プログラムがそれを求めていないということです。この会社の有効期限が3年のOTC医薬品の安定性サンプルは、化学および微生物試験をしていなかったとのことで指摘されています。