FDA Warning letter(320-20-12):OTC医薬品(メキシコ):OOS調査;バッチ製造記録;装置の洗浄

今週は、CDERから新たなWarning letterが3通出ています。発行日は昨年12月13日、今年の1月16日と22日です。(順番に出てきませんね)

今回は、メキシコの当該製造所を指揮監督していた米国内の会社のCEO宛になっているWarning letterを紹介します。

今回の対象会社は、メキシコのOTC医薬品製造施設です。

Warning letterは、メキシコの当該製造所(Baja Fur S.A. de C.V.)を指揮監督している会社(Markwins Beauty Brands, Inc.)のCEO宛になっており、当該製造所のオーナーと製造担当バイスプレジデントにはコピーが配信されています。

指摘は、1)OOS調査; 2)バッチ製造記録; 3)装置の洗浄に関する3項目です。

—————————————————-
WL#: 320-20-12
日付: 2019年12月13日
発行オフィス: CDER
対象会社: Baja Fur S.A. de C.V. Markwins Beauty Brands, Inc. (USA)
対象品: OTC医薬品
査察期間:2019年7月8日~
回答受理日:2019年8月1日
GMP違反:3項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/baja-fur-sa-de-cv-590791-12132019
—————————————————-

◆警告書の宛先:アメリカ

Mr. Eric Chen
CEO
Baja Fur S.A. de C.V.
Markwins Beauty Brands, Inc.
22067 Ferrero Parkway
City of Industry, CA 91789
United States

◆カーボンコピーの配信先:メキシコ

Cc: Leonardo Gomez. VP of Manufacturing
Baja Fur S.A. de C. V.
Fur S.A. de C.V. (Markwins Beauty Brands)
Avenida Alejandro Graham Bell 19296
Zona Cerril General, C.P. 22163
Tijuana, BC
Mexico

Cc: Ross Baldwin
Owner
Baja Fur S.A. de C. V.
Avenida Alejandro Graham Bell 19296
Zona Cerril General, C.P. 22163
Tijuana, BC
Mexico

Cc: Derrick Baldwin
Owner
Baja Fur S.A. de C.V.
Avenida Alejandro Graham Bell 19296
Zona Cerril General, C. P. 22163
Tijuana, BC
Mexico

<指摘事項の解説>

1. この会社は、徹底した調査を実施していませんでした(21CFR211.192)。

この会社は、高濃度に微生物汚染して不合格判定した製品の十分な調査を実施していませんでした。

OOSの結果は製品年次照査を行っていますが、このOTC医薬品の微生物汚染の再発防止のための調査を行っていなかったことが指摘されました。

(“..)φ:製品年次照査の対象項目には、不合格バッチも含まれます。そして、年次照査の目的は、好ましくない傾向を事前に検出して、変更等の対策を立てることです。いわば、CAPAの一種と認識されています。

その他、菌限度試験は受託試験機関で実施していますが、そこではUSP<61>の修正法を採用していまいした。この方法が、USPとは培養条件が異なるとして指摘されています。

2. 医薬品のバッチ製造記録の作成に欠陥が見られました(21 CFR211.188(b)) 。

バッチ記録には、適切な製造の詳細が記録されていませんでした。たとえば、充填作業や職員が製造中に行う重要ステップが記入されていませんでした。しかし、これだけとは限らないと記載されています。

(“..)φ:今更言うまでもありませんが、FDAは「バッチ記録は一貫して守られ、再現性があること」の必要性を、この警告書の中で説いています。

3. 装置の洗浄と保守の手順を確立していませんでした(21 CFR 211.67(b))。

この会社では、いろいろな装置が異なる製品の製造に共有されています。しかし、交叉汚染の防止を保証するような洗浄のバリデーションが適切に実施されていませんでした。

FDAは、観察事例を具体的にあげていますが、私達がその文章を読んでも内容は把握できません。こんな書き方です。

“For example, your cleaning validation for the (b)(4) system does not provide adequate assurance that your cleaning procedures for this shared equipment are sufficient to prevent cross-contamination. Inadequate removal of residues from manufacturing equipment during cleaning can cross-contaminate products subsequently manufactured on shared equipment.”

○システムのクリーニングバリデーションは、共有装置の交叉汚染の防止を貴社の洗浄手順で満たせることを保証していないと言っています。ということで、FDA査察官がバリデーション報告書のどこに欠陥を見出したかは謎のままです。あるいは、○システムで洗浄後の残留物を観察したのでしょうか。(“..)φ

以下、洗浄のバリデーションで考慮すべきパラメータをリストしてくれています。

・ 毒性の高い医薬
・ 高活性の医薬
・ 洗浄剤に低溶解性の医薬
・ クリーニングが困難になる性質をもった医薬((“..)φ:相互作用を考えておきましょう)
・ 最もクリーニングが難しい区域のスワブ
・ クリーニング前の最大保持時間((“..)φ:ダーティーホールドタイム)