FDA Warning letter(320-20-01):局所剤(インド):調査

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。

CDERが発出する警告書の今年度(FY2020)第1号が掲載されました。さらに、第3号と4号掲載されいますが、第2号は未掲載です。

今回は第1号の警告書を紹介します。対象会社は、インドの局所剤製造施設です。

指摘は、1)調査に関する1項目ですが、製品のざらつきの苦情;配送温度のエクスカーション;OOS試験結果;容器施栓系の苦情に関する調査が指摘されています。

WL#: 320-20-01
日付: 2019年10月3日
発行オフィス: CDER
対象会社: Glenmark Pharmaceuticals Limited
対象品: 製剤(クリーム剤)
査察期間:2019年4月15日~20日
回答受理日:2019年5月10日
GMP違反:1項目4観察事項
掲載サイト:
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/glenmark-pharmaceuticals-limited-582701-10032019

 

<指摘事項の解説>

この会社は、バッチやコンポーネントの不一致または失敗を徹底的に調査していませんでした(21 CFR 211.192)。

観察事項は4件あり、以下のとおりです。

a. 局方クリーム剤のざらつきに関する苦情が複数ありましたが、それを徹底的に調査していませんでした。2017年11月以降、不合格となったバッチが20バッチあり、製品のざらつきに関する苦情は少なくとも38件ありました。

製品のざらつきは2010年から続く処方の問題であり、前回の査察でも指摘されています。その時、この問題に関して特定の改善策を提案していました。直近の回答では、2018年11月に製品の再処方で問題が改善されたことを述べています。

FDAはこの回答を不適切と判断しました。新たな処方の堅牢性を証明する十分なデータが提示されなかったからです。

2019年7月に旧処方で製造された有効期間内の全てのバッチを回収したことを、FDAは認めています。しかし、再処方と市場へのアクションがタイムリーでなかったことも指摘しています。

 

b. 出荷配送中の医薬品の複数の温度変動(エクスカーション)を適切に調査していませんでした。この調査には、再発防止のためのタイムリーな措置が含まれていませんでした。

例えば、2018年5月に、クリーム剤のバッチは米国への輸送中に温度のエクスカーションがありました。2018年7月にもう1件発生しています。これらの製品は、米国で流通されました。

(..)φ:具体的な温度が書かれていますが、伏せ字で不明です。

この温度のエクスカーションの調査が不適切であることは、前回の査察でも指摘されている継続的な問題です。この会社は、温度上昇の影響を判断するために、調査しました。その結果、製品は○ °Cで相分離を起こすことが示されました。

回答書では、さらに温度のエクスカーションの調査を継続するだけではなく、長期安定性の調査を実施すると述べています。また、調査中に確認されたすべてのOOS結果を調査し、必要に応じてFDAに通知することも述べていま

FDAはこの回答を不十分と判断しました。ラベル表示された保管条件を超えた販売中のバッチの適切なリスクアセスメントを提示していなかったからです。また、製品を保護するための新しい配送方法について述べていましたが、タイムリーに実施されていないからです。

 

c. 重要製品特性に関する複数のOOS試験結果を、適切に調査していませんでした。例えば、2018年4月と2019年2月に(異なる製品の)バッチが、最終的に却下されています。しかし、適切な根本原因を決定し、効果的なCAPAを保証していませんでした。

この会社の回答では、調査の質を高めるためにコンサルタントを雇う計画を示しました。しかし、FDAは回答を不十分と判断しました。それは、製品の品質への潜在的な影響と潜在的な根本原因の特定に失敗したことを評価していなかったからです。

 

d. 軟膏やクリーム剤の70件以上の消費者の苦情(破裂、割れ、穴)を適切に調査しませんでした。容器施栓系の深刻な不良の範囲と原因に対して適切に取り組んでいませんでした。そして、類似の製造品質に関する苦情等のシグナルや、同じ供給業者のものを使用した他の製品に対して、適切な評価をしていませんでした。

回答では、消費者の不適切な取り扱いが根本原因であると述べています。さらに、苦情の比率は有意ではないので、市販のバッチにリスクはないと述べています。この会社は、類似の品質不良の再発を防ぐためのCAPAを実施することなく、50件以上の苦情を終了しました。

この会社の品質システムは不十分であり、安全で効果的な製品の一貫した生産を保証していません。この会社は、根本原因の特定とCAPAの実施の失敗を繰り返しています。