FDA Warning letter(320-18-46):OTC医薬品(メキシコ):微生物試験;試験データ;水システム

今回紹介するのは、メキシコのOTC(消毒剤などの局所剤)メーカーの警告書です。

指摘は、1)製品の微生物試験; 2)試験データの保持に関する2項目です。試験データはデータインテグリティの問題ですが、この会社は水のモニタリングデータや消毒データも欠落していたようです。

警告書の概要は、先週ブログに書きましたが、もう一度書き込んでおきます。


WL#: 320-18-46
日付:2018年4月18日
発行オフィス: CDER
対象会社:Degasa SA De CV(メキシコ)
対象品: OTC医薬品
査察期間:2017年9月4日~8日
回答受理日:2017年9月28日
GMP違反:2項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm605390.htm


 

<指摘事項の解説>

  1. この会社は各バッチに対して、好ましくない微生物が製品に存在しないことを試験していません。 (21 CFR 211.165(b)).

例えば、ポビドンヨード消毒剤の微生物特性を試験していませんでした。この製品は、好ましくない微生物の汚染がないこと、または無菌であることを確認する必要があります。

FDAが求める対応:US市場にある有効期間内のバッチ全ての保存サンプルを速やかに試験すること。この警告書を受け取った日から30日以内にFDAに結果を報告すること。その試験記録、試験施設の名称と場所を含むこと。不適切な医薬品が流通している場合は、顧客への通知や製品の回収などの是正処置をすること。

各医薬品の微生物試験方法と出荷判定規格を提出すること。製品の用途に合わせて、微生物限度試験や無菌試験を実施すること。各微生物試験法(微生物限度、無菌、抗菌性)のバリデーション調査を提出すること。

各局所剤の製造作業を包括的に査定して提出すること。査定には、使用マテリアル、バイオバーデン管理、汚染防止に重点を置いて実施すること。

 

  1. この会社は、試験記録が完全なデータを含むことを保証していません。そのデータは、規格や標準の遵守を保証するために必要な全ての試験から生成されるデータです。 (21 CFR 211.194(a))

具体的には、水システムの適格性評価の完全な生データを提示することができませんでした。水システムの性能を評価する基本情報が、欠けていました。消毒データも欠落していました。従業員の話によると、1年かけて生成されたデータの半分を失ったとのことです。

この会社の試験室も、データが欠落していました。例えば、最終製品の出荷判定に使われた検体重量、試験法、計算の記録と、水のモニタリングデータです。

FDAの査察では、この会社の水システムは意図する使用に適していないことが指摘されました。この水システムは適切に設計、管理、維持されておらず、高純度水を安定的に製造するには不適切でした。

水はこの会社の製品の主要成分です。USPモノグラフの精製水と微生物基準に適した製薬用水を製造するためには、堅牢に設計された水システムの採用が不可欠です。そして、効果的に管理、維持、モニタリングする必要があります。

この会社が約束した試験記録の手順の更新を、FDAは認めました。しかし、この手順が適切で、適切に実施され、フォローされることを確実にする方法は述べていませんでした。また、製造および品質の意思決定に関する不十分なデータの影響について、適切に対応していませんでした。