FDA Warning letter(320-18-35):API(インド):データインテグリティ;メンテナンス;調査;施設の衛生管理;手洗い施設
医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、インドのAPI製造施設です。指摘は、1)データインテグリティ; 2)メンテナンス; 3)調査; 4)施設の衛生管理; 5)手洗い施設に関する5項目です。
WL#:320-18-35
日付: 2018年2月16日
発行オフィス: CDER
対象会社: Alchymars ICM SM Private Limited(インド)
対象品: API
査察期間:2017年9月11日~15日
回答受理日:2017年10月6日
GMP違反:5項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm597706.htm
<指摘事項の解説>
これらの指摘は、APIの観察事項なので、CFRのセクションは参照されていません。
1.APIが規格に適合していることを保証するために実施した試験のデータをなど、試験管理記録を保持していませんでした。
査察官は、この会社が試験データを改ざんしていたことを観察しました。例えば、この会社の●水の使用点の試験の●平板のCFUは、報告書に記録されたものと違っていました。複数の使用点に対して、分析者は平板で観察された数よりも少なく報告していました。さらに、好ましくない微生物を検出するために使用した選択培地には菌は検出されなかったと報告していましたが、査察官はこの平板上に菌が発育しているのを観察しました。これは、無菌の注射剤に使用するためのAPIの製造に使用するため、懸念されるところであると記述されています。
FDAは、この会社が提案したリスクアセスメントや出荷済みの製品のデータのレビュー、さらに水システムの殺菌消毒とバリデーションを認めた上で、製造を再開する前にFDAに文書で報告することを求めています。
FDAが一般的に求めるデータインテグリティの改善の他に、以下の5点についても報告するようにもとめています。
・水システムの設計、管理、メンテナンスの特立した評価結果
・水システムの設計、管理、メンテナンスを改善するための総合的なCAPA計画
・水システムのバリデーション報告書
・水システムの設計の改善と継続的な管理とメンテナンスプログラムの概要
・このシステムで現在使用している総菌数とエンドトキシンの限度
2.適切に装置を保守しておらず、主要装置のメンテナンス記録を保持していない。
複数の製品に使用される汎用装置の製品接触表面が損傷しているのを、査察官が発見しています。例えば、●111〔装置の識別番号だと思います〕 のマンホールのガスケットが劣化していて、剥離テープが巻かれていました。別の●102 のガスケットも、1箇所がひび割れていて、剥離テープが巻かれていました。
この会社のメンテナンス手順書は、重要区域のガスケットの交換を求めていますが、査察中にこの装置のガスケットの交換記録を提出できませんでした。
さらに、●102 のガスケットの状態をチェックした直近の記録は、2017年1月で、査察の〔8ヶ月〕も前でした。
この観察事項は、2015年にも見られた再発事項です。当時、この会社はAPIの微粒子の苦情に関する根本原因をガスケットの劣化としていました。
ガスケットはすぐに交換したと回答したのですが、他の製造装置のガスケットを全て評価したことが述べられていなかったため、回答不十分と判断されました。その他、製品接触表面の評価のための監督が必要ですが、その頻度などが書かれておらず、詳細な手順ではないと判断されました。ガスケットの保守記録についても対策が回答されていません。
3.品質関連の苦情の調査と解決を保証する品質部門が不備でした。
品質部門は、API に関する顧客の苦情を十分調査しませんでした。その例として、APIの黒点に関する苦情は、十分なレビューなしに「軽微で不当」と分類したと指摘しています。〔この「不当」の原文は”unjustified”です〕 過去の類似の苦情では装置のガスケットが根本原因としたにも関わらず、製造記録や装置のクリーニング記録、メンテナンス記録を詳細にレビューしていませんでした。
その他の苦情(含水量)にも、同様のことが観察されています。この苦情では、当該バッチとその前の3バッチの参考品を試験しましたが、製造記録でAPI乾燥工程はレビューしていませんでした。
(“..)φ:このような調査不十分は、調査のアプローチを具体的に記述した手順書があり、それを守れば避けられると思います。
4.中間体とAPIの製造に使用される建物や施設が適切に維持されていませんでした。
装置の洗浄室は、タイルが割れていて水たまりがあり、汚れた状態でした。さらに、クラス10万(ISO-8)区域のために使用する手洗い場所は、目に見えて汚れていたようです。
この会社は、洗浄室を再構築することを約束しました。しかし、定期的なクリーニングと予防メンテナンスについては、詳しく述べていませんでした。
FDAは、施設のクリーニングと予防メンテナンスプログラムの総合的な評価を求めています。また、装置洗浄室と手洗い場所だけでなく、施設のクリーニングと予防メンテナンスの改善に関するCAPAの計画を提出するよう求めています。
5.職員に適切できれいな手洗い場所とトイレ設備を提供できていませんでした。
この手洗い場所は、不便な場所に設置されていて、十分な機能が備わっていませんでした。例えば、このクラス10万区域のための手洗い場所は、装置洗浄室あり、すでにガウンとグローブをつけた作業者のみがアクセス可能でした。〔すなわち、手を洗ってからガウニングして、クラス10万に入るのではなく、テを洗わずにガウニングしてから、装置洗浄室で手を洗うというアプローチになっていたわけです。〕
また、手洗い場所には温水がひかれてなく、石鹸や乾燥用の器具もありませんでした。
この会社は、一時的な手洗い場所を設け、恒久的な手洗い場を更衣室に作ると回答しました。FDAは、最新の設置スケジュールと温水が使えることを追加で述べなさいと言っています。
(“..)φ:この警告書で、類似した指摘が再発することに対して、特に注意をしています。再発は、自主的改善(VAI)の能力なしと見られる可能性があります。