GMPを勉強しよう(深堀りGMP6)逸脱に関する解釈
ここでもう一度GMP省令に戻ってみましょう。
初回にお話した通り、GMP省令(事例集)では今まで述べたことがすべて当てはまるような適切な言葉を使って説明してくれています。
再度、GMP事例集2022年度版の逸脱に関する記述を読むことにしましょう。GMP15-1「医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書に定められている事項に限らず、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される状態が保たれていない場合」を逸脱としている。
まず「手順書に定められている事項に限らず」と、手順書だけじゃないことを強調してくれています。ここに気がついてくれれば、当局としては書き換えたかいがあったということになるかもしれませんね。私は部外者なので滅多なことを言ってはいけないのですが、老い先短いハゲ頭に免じてお許しください。
さらに、「…期待される状態が保たれていない場合」を逸脱としている。」と書いています。この文章は素晴らしい。羅針盤よろしく、迷える人に、はっきりと行き先を示しています。個人的には名文に出会えた喜びを感じています。PIC/S GMPやICH Q7には、このような的確な表現はありません。
しばし、感激を胸に…今日の原稿はここでやめようかと思ったぐらいですが、ピリオドを打たなければなりません。続けます。
また「ポンプの故障」に戻りましょう。
ポンプの故障が逸脱であることを、製造部門の責任者に伝えるにはどうしたらいいでしょうか。
GMP事例集GMP15-1 がバッチリです。
「医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書に定められている事項に限らず、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される状態が保たれていない場合」を逸脱としている。
問1:ポンプは「製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法」に該当しますか? はい。構造設備です。
問2:故障は「期待される状態」ですか? いいえ。期待される状態が保たれていません。
ということで、ピンポン(古かったかな)。製造部門の責任者でもわかります。答えは逸脱です。
逸脱かどうか判断するときに、上記の問1と2を自問自答してみましょう。後は、第15条に従ってやるべきことをやっていってください。