GMPを勉強しよう(深堀りGMP 7)逸脱とラボエラー

OOS(規格外結果)の原因究明でラボエラーとなった場合は、第15条の逸脱管理に基づいて原因究明を行い、さらに必要なら是正措置及び予防措置を実施します。

「ラボエラーは逸脱ですよ」と説明したときに、「試験室には逸脱はありません」と返されたことがあります。なるほど、省令の第11条には逸脱という言葉は出てきません。

試験室では規格外結果に関係しない、装置の不具合、校正有効期限切れ、試薬の調製ミスなど、試験に関係することなく発生する単独の事象もあります。これもラボエラーとして処理しているのかな?と思ってしまいます。「校正の期限を過ぎてしまったんですが、校正するのを忘れていました。」「ラボエラーですね」って感じかな?そうすると「工程装置の校正期限を過ぎてしまったんですが、校正するのを忘れていました。」「非工程関連エラーですね」って感じになってしまう?後者は明らかに逸脱と言ってますよね。

ラボエラーとはなんだろう?どのように対応するのだろうということをはっきり手順にしておく必要がありそうですね。

第11条の条文、逐条解説、事例集には、規格外結果に関連するラボエラーしか出てきません。事例集GMP11-61の[答]には、「OOSの原因がラボエラーであると判明した場合は、ラボエラーの原因を是正したうえで再試験を行い、その結果をもって試験結果として採用することができる。…」と書かれています。

しかし、試験に関係なく単独で発生した装置の不具合や試薬の調製ミスなどが、ラボエラーなのか逸脱なのかは明確に述べていません。

ラボエラーでも逸脱でもいいけれど、どのような対応をするのでしょうか。こちらのほうが大切ですね。ですから、ラボエラーか逸脱かという議論は次の解釈でやめておきましょう。

事例集GMP11-60(規格外結果)の[答]に、「…ラボェラー(設備器具の不具合、標準品及び試薬試液の規格の適合性、操作ミス等)の有無…」という記述があります。ラボエラーは、このようなことですね。

「設備器具の不具合」、「標準品及び試薬試液の規格の適合性」、「操作ミス」は、「構造設備や品質管理の方法が期待される状態が保たれていない場合」なので「を逸脱としている。」(事例集GMP15-1 )ということです。結論は、ラボエラーは別の言葉にすると逸脱ということになります。

「どのように対応するのか」ですが、ラボエラーについてはGMP省令第11条には書かれていません。前述した事例集GMP11-61の[答]「原因を是正したうえで再試験を行い…」だけです。

逸脱の対応のしかたはGMP省令第15条により詳しく書かれています。どちらをとりますか?

試験室に逸脱は存在しないと社内で定義をしてもいいと思います。しかし、ラボエラーのフォローアップは逸脱と同じプロセスをとる必要があると解釈したいですね。