GMPを勉強しよう-84-MHRA データインテグリティのガイダンス 2018年(6.12)

6.12 Computerised system transactions(コンピュータ化システムのトランザクション)

トランザクション(transactions)ってなんですかということで、定義が出てきます。一般的な訳は「処置」ということになるのですが、定義を見ていきましょう。

コンピュータ化システムのトランザクションとは、単一の論理的「単位作業(unit of work)」として実行される単一作業や一連の作業であると言っています。

(“..)φ;「一つのまとまった作業を行うこと」と覚えておきましょう。

この操作は、ユーザーがトランザクションを確認するまで(例えば保存のボタンを押したり、システムがデータを保存するまで)、永続的な記憶媒体に永久的な記録として保存されないことがあります。ここまでが、定義です。

メタデータ、例えばユーザー名や日付、時間などは、ユーザーが永続的な記憶媒体にトランザクションを保存するまで、システムの監査証跡に取り込まれません。コンピュータシステムでは、記録を永久保存するために電子署名が要求されるかもしれません。

(“..)φ;この保存は、実施時点で行われなければなりませんね。永久保存しないまま次のトランザクションを実施することは、GMP違反になる可能性があります。

重要なステップとは、対象の安全性、製品やデータの品質を保証するために、適切な限度、範囲、分布の中になければならないパラメータですと言っています。

(“..)φ;すなわち、重要パラメータということですね。

重要なステップが実施と同時に記録されるように、コンピュータシステムを設計してくださいと言っています。トランザクションシステムを使用する場合は、複数の単位作業を組み合わせて一つのトランザクションとしないで、データ保存前の時間のインターバルを最小限にしてください。

(“..)φ;すなわち、一つの単位作業が終わったら、すぐにそのデータを保存してくださいということです。例えば、n=3でSubstance Aを試験したとします。試験は3回(t1,t2,t3)を行います。このt1,t2,t3がそれぞれ単位作業です。Substance Aの試験結果は、t1+t2+t3なので、これを一つのトランザクションとして3回終わってから3つのデータを同時に保存する(Aの試験実施と同時にデータを記録(=保存)するという間違った解釈)ということは避けましょうと言っています。t1が終了したらt1を保存して、t2が終了したらt2を保存して、最後にt3が終了したらt3を保存するというように、単位作業(t1,t2,t3)実施と同時にデータを保存しましょうということです。

ですから、ユーザーがデータを変更する前に永続的な記憶媒体にデータが保存されるようなシステムを設計する必要があります。

(“..)φ;例えば、t1のデータを一時ファイルに記憶させて、t2の試験を実施すると、ユーザーはt1のデータを変更することが可能です。前のt1のデータは失われてしまいます。このようなことがないように、永続メモリにt1のデータをすぐ保存しなさいということです。それでもユーザーはt1のデータを変更できますが、一旦永続メモリに保存されれば監査証跡に残るのでOK!ということです。

システム開発中に、例えばユーザー要求仕様などで、重要ステップが適切であることをシステムの機能や関連リスクのレベルに基づいて明確にすべきであると言っています。重要ステップは、プロセス管理を文書化しておきます。このプロセス管理は、(予防的な)システム設計とモニタリングやレビューを考慮したものになります。プロセスの設計で対応することができないシステム障害(failures)には、活動を監視することで体操しなければなりません。

(“..)φ;リスクの低減化と残余リスクのモニタリングということですね。