GMPの領域でChat GPTを活用する時の注意点

最近Chat GPTの話題が急激に増えてきたように思う。このブログでも1ヶ月ほど前に紹介したが、その時と今を比べて見ると、その知名度といい、使用する人の数といい、雲泥の差のように思う(個人的な推測)。

そこで、現時点での「GMPの領域でChat GPTを活用する時の注意点」を私なりに考えて、ここにメモしておこうと思う。

ここに認める私の感想や考えはGMP領域におけるもので、かつ現時点(2月28日現在)のものです。Chat GPTの進化はとんでもなく目覚ましいもので、明日には違う感想を述べなければならないかもしれない。この点も、注意点の1つかな。

Chat GPTの性別はないと思うが(今聞いたところ性別はないとのことでした)、ここでは便宜的に「彼」と呼ばせていただきます。ちなみに、性別を聞いた時の会話は以下の様なものでした。

私「Chat GPTさん、あなたの性別を教えてください。貴方と書いたほうが良いですか?貴女と書いたほうが良いですか?」

彼「私は性別を持っていないAIですので、男性でも女性でもありません。私に対しては、"あなた"と呼んでいただくのが適切です。」

ここから本題です。私の感想を述べます。

1.GMPの新たな要件や話題の情報収集を目的とした使い方をしない。

理由:彼が持っている情報は、1年前のものです。すなわち、それ以降の情報はアップデートされていないので、聞き方によっては旧い情報で作文されます。

2.官民の出版物に書かれていることは、最終的に彼の作文が正しいかどうかを確認したほうがよい。

理由:ある質問をしたところ、「はい、~においても医薬品の~は決められています。EU GMPガイドラインのAnnex 1によると~」のような作文をしてくれました。しかし、私の知識ではそのような記述は見当たらなかったので、他の文献から孫引きしたのではないかと思いました。そこで、「『~』とのことですが、該当するAnnex1の原文を書き出して下さい」と聞いたところ、「申し訳ありませんが、前回の回答で~と説明しましたが、実際にAnnex 1を確認したところ、そのような明確な記載は見つかりませんでした。誤った情報を提供してしまったことをお詫び申し上げます」と丁寧に回答してくれました。

と言うことは、前回の回答は「孫引き」と思われます。元の文献が誤った情報を出していたことになります。

3.単純に納得して自分のもの(知識や意見)にしないこと。彼の作文が正しい情報に基づくものなのかを見抜くGMPの基礎力が必要。

理由:1、2の例から評価すると、聞き方の技術も大切ですが、彼の作文が現時点で適切であることを判断するだけの幅広い基礎知識が必要になります。

そこで思ったことですが、長年GMPの情報を収集し学んできた方は(現時点で)有効に彼を活用することができると思います。一方、GMPの習い始めから彼を活用すると、時には誤った情報(旧い情報や国際間の相違や元々誤情報を文書化した文献、個人の意見が強すぎる文献などからの引用に注意)で学習して、その延長線上で成長していく可能性がありそうです。このようなことになると、怖いですね。

これが今日時点の感想です。