FDA Warning letter(320-20-34):局所剤(インド):装置の設計と保全;原料の受入試験

今回は、インドのOTC製造施設での局所剤の指摘に焦点を当ててみました。指摘事項は、1)装置の設計とメンテナンス;2)コンポーネントの受入試験に関する2項目です。コンポーネントはグリセリンが焦点です。

指摘は、1)装置の設計と保全; 2)原料の受入試験に関する2項目です。—————————————————
WL#: 320-20-34
日付: 2020年4月23日
発行オフィス: CDER
対象会社: Kumar Organic Products Limited(インド)
対象品: 局所剤(OTC)
査察期間:2019年11月11日~11月14日
回答受理日:2019年12月5日付
GMP違反:2項目
掲載サイト:
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/kumar-organic-products-limited-598683-04232020
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<指摘事項の解説>

1. この会社は、装置の設計およびメンテンスが不十分でした(21 CFR 211.63 )。

以下のような配送システムの設計に複数の欠陥が見られ、バイオフィルムの形成の可能性がある。

• 不使用時に○○システムの電源をオフにしている。

•保全記録には、最後に○○を変更したのは2014年8月を記されていた。

• ○は、使用中にリークが発生した。

•洗浄手順には、貯蔵タンクの消毒方法が書かれていないため、不適切である。

以上から、システムの監視が不十分と判断しています。

○システムの試験手順は、使用点でサンプリングして、化学分析と微生物試験をすることになっています。しかし、サンプリングのインターバルが、製造に使用する前に仕様を満たしていることを確認するには不適切でした。

この指摘に対して、この会社の回答は微生物試験結果を提出しましたが、試験結果で設計や保全を正当化することはできません。

(“..)φ:いわゆる下流管理となっているわけです。FDAは、根本原因の是正をせずに下流管理(少し例が違いますが)で済ませることを好みません。受け入れられないわけです。

この会社は、バイオバーデン形成の管理に関するシステム設計をしていません。ろ過を消毒で管理していました

(“..)φ:これも下流管理ですね。バイオバーデンの形成を防止するシステムになっていませんので、タンク内にはバイオバーデンが形成されます。その中に入れた製品をろ過して、バイオバーデンを減数される方法です。消毒ではバイオバーデンはなくならないですね。

この会社の回答書には、微生物モニタリングの間隔を改善することは載っていませんでした。

(“..)φ:査察官は、モニタリングの間隔について、多分FDA-483 で伝えていると思います。または、口頭で期待する改善方法を示しているかもしれません。この警告書を読めば、何らかのヒントが出されていることがわかります。しかし、答えなかったんですね。どうしちゃったのかな?技術的にもコスト的にも、それほど難しい課題では有りませんよね。忘れてしまったんでしょうか?

2. こちらはコンポーネントの受け入れ試験の問題で指摘されています(21 CFR 211.84(d)(1)および(2))。

いつも共通して見られる指摘事項です。

・各入荷の各ロットで同一性確認試験を行うこと。
・業者のCOAを利用して規格試験をスキップする場合、COAの信頼性のバリデーションをすること。

これができていませんでした。

(“..)φ:この会社は、グリセリンを使用しているため、原材料のリスクについて査察官が注目したんでしょうか?

この指摘の回答に、原材料システム(システム査察のサブシステム)の供給業者管理が期待されています。コンポーネントだけでなく、容器栓なども含んでいます。

(“..)φ:2007年のパナマでのジエチレングリコールのコンタミを機に、コンポーネントの品質リスクはたいへん大きな問題になっています。