FDA Warning letter(320-20-31):注射剤(インド):微生物試験のフォローアップ調査

今回の対象会社は、インドの注射剤製造施設です。

対象工場はインドにありますが、アメリカのCEO宛に発出されました。インドのサイトリーダーには、カーボンコピーが出されています。

指摘は、フォローアップ調査に関する1項目です。

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WL#: 320-20-31
日付: 2020年3月25日
発行オフィス: CDER
対象会社: Pfizer Healthcare India Private Limited(米国)、対象施設(インド)
対象品: 注射剤
査察期間:2019年8月29日~9月6日
回答受理日:2019年9月27日
GMP違反:1項目
掲載サイト:
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/pfizer-healthcare-india-private-limited-594972-03252020
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<指摘事項の解説>

この会社は、徹底的な調査を行っていませんでした(21 CFR 211.192)。

CAPAの計画および実施を含む、徹底的な調査を実施していなかったため指摘されています。この指摘は、具体的に「無菌試験の失敗」と「環境モニタリングプログラム」に関するものです。

<無菌試験の失敗>

無菌試験の欠陥に関する適切な根本原因調査とCAPAを実施していませんでした。

たとえば、この会社は2019年2月に、ある注射剤のバッチの無菌試験の失敗を調査しています。そして、もっとも可能性のある原因は「●完全性試験の頑健性」と「バイアルの完全性」の欠如であるとしました。

それから、微生物汚染の由来は●の不良の可能性があるとも述べています。ちなみに、このバッチは不合格判定されました。

しかし、●を交換するなどの是正前に、引き続きこの●を使用して、かなりのバッチの無菌試験を実施していました。

(“..)φ:この記述は地味に感じますが、読み替えて理解する必要があります。すなわち、「逸脱を是正してから業務を再開する」ということです。欧米では指摘事項の対象になります。日本では現場まであまり浸透していませんが、「事務連絡平成25年2月1日 ICHによって承認されたICH Q8/Q9/Q10の実施に関する指針」の中で「バッチ出荷手順の要素」として記述されています。読んでいない方は、是非一読を!

さらに根本原因を解決するためのCAPAのタイムラインも不適切でした。CAPA実施の遅れに対して、回答書は適切な説明をしていませんでした。

<環境モニタリングプログラム>

環境モニタリングの領域でも、試験に関連する以下の欠陥について適切に調査されていませんでした。

・環境モニタリングの支援のために使用されたネガティブコントロールの平板のコンタミ:1年に多数発生しているが調査していませんでした。

・無菌試験環境の高レベルな汚染:無菌試験のサポートに使用している●で、3ヶ月にわたってTNTCを含む高レベルの菌が検出されたが、徹底的な調査をしませんでした。

・平板のコロニー計数が遅れて無視されたデータ:適切な職員数が不足していたため、手順書の期間を超えた培養を許容していました。期間を超えたため、菌数は信頼できないということで繰り返し無効にされていました。そのため、無効ではない汚染に関する調査にも影響を与えていました。

(“..)φ:最近、微生物関係のメーリングリストで培養期間を超えた場合のQ&Aがありましたので、次の機会に紹介したいと思います。当局のQ&A以外は、すなわち民間の人たちのディスカッションは、科学的に正しくても、コンプライアンスに関しての決定打にはなりませんので、その点を含めて読まれると良いと思います。