FDA Warning letter:委託元(アメリカ):品質監督;レビューと出荷判定;品質部門の手順

今週はFDAのWarning letterが1通掲載されました。今回の対象は、アメリカの会社で、契約業者の品質監督に関する指摘です。

指摘は、1)品質部門:A)品質監督;B)レビューと出荷判定;C)品質部門の手順に関する1項目です。

WL#: 2018年4月2日~6日
日付: 2019年3月6日
発行オフィス: Division of Pharmaceutical Quality Operations IV
対象会社: United Exchange Corporation(アメリカ)
対象品: 委託製造製品(CMOの管理)
査察期間:2018年4月2日~6日
回答受理日:2018年4月25日
GMP違反:1項目
掲載サイト:
https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm633205.htm

 

<指摘事項の解説>

1.この会社は、品質部門を確立していませんでした。品質部門に適用する「責任と手順」の適切な手順書を確立していませんでした。(21 CFR 211.22(a) and (d))

この会社は、CMO(契約製造業者)を使って製造、包装を行っていました。その製品を受け取って、最終的に市場への出荷可否の判定を行っていました。したがって、CGMP活動の責任を持っています。

この会社の回答では、医薬品の出荷可否の判定、苦情、逸脱調査、供給業者とCMOの監督などCGMPの責務があることを認めており、この会社の顧客との品質契約もあると言っています。たとえば、「FDAのGMPに従って製品の開発、設計、製造、商品化をする」という内容です。

しかし、以下の3点で不適切が見られました。

 

A)契約製造業者の品質監督が不適切

〔(“..)φ:品質至上に監督は” quality unit (QU) oversight”と言っています。直訳すると、品質部門監督(=QA監督)となります。〕

適切な品質監督に失敗したため、複数の低レベルの契約製造業者を使うことになってしまいました。

FDAは2016年から、この会社の複数の契約業者のCGMP違反に対して6項目(伏せ字)の措置をとってきました。

査察中に、この会社は◯◯(CMO)とビジネス契約を解消するというメモを渡しています。しかし、これはこの会社の不十分な品質システムに対する取り組みではなく、市場に不適格な製品を出荷する可能性があるとしています。そして、最後に以下の3点の回答を求めています。

・全ての供給業者の再適格性評価

・現在市場にある有効期間内の全ての製品が規格に適合しているかどうかを確かめるリスクアセスメント

・この会社のアセスメントが正確であることの科学的正当性

 

B) バッチの不適切なレビューと出荷可否の判定

FDA査察官は、この会社が各バッチの処分を決定するための最終的なレビューを実施しなかったことを観察しています。この査察に対する会社の回答は、新しい手順を作成すること;契約試験施設の適格性を評価するという約束でした。

しかし、この会社は新しい手順の詳細も是正措置の進捗状況も示さなかったため、回答は不適切と判断されました。手順と改善計画を実施する前に、出荷された医薬品の品質に対するリスクを評価しなさいと言っています。

 

C)不適切な品質部門の手順

苦情処理の手順には、苦情の受理から調査まで書かれていますが、契約業者からの調査、逸脱、規格不合格に関する取扱いについて書かれていませんでした。

(“..)φ:苦情処理手順または委受託の手順などに、具体的なアプローチを入れておく必要があります。

また、出荷可と判定された製品と隔離保管の製品が同じ空間に保管されていました。適切な”quarantine control”を欠いていたと判断されました。これは、品質部門が医薬品の受け入れ、検査、保管に関する手順を確立しなかったという切り口で指摘されています。