Warning letter(320-19-04):中国のAPI;バルサルタンAPI;苦情調査;変更管理

医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は中国のAPI製造施設です。今注目されているバルサルタンAPIが対象品目です。

指摘は、1)苦情の調査; 2)変更の調査に関する2項目です。

APIで査察期間が2週間というのは長いですね。それだけ重要な査察だったわけです。

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WL#: 320-19-04
日付: 2018年11月29日
発行オフィス: CDER
対象会社: Zhejiang Huahai Pharmaceutical(中国)

対象品: API(バルサルタン)
査察期間:2018年7月23日~8月3日
回答受理日:2018年8月26日
GMP違反:2項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm628009.htm
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<指摘事項の解説>

1.この会社の品質部門は、品質関連の苦情を調査し、解決することを保証できませんでした。

この会社は、2018年6月6日に顧客からバルサルタンAPIに関する苦情を受理しています。バルサルタンAPIの残留溶剤試験で未知のピークが検出されました。このピークは、発がん物質のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)と同定されました。調査では、原因は3つの工程関連のファクターに絞られました。一つは、溶剤◯の使用でした。この会社は、バルサルタンの1製造工程にNDMAが存在し、影響を受けたと結論づけました。

しかし、FDAの分析では、溶剤◯を使用していない異なる工程で製造された複数のバッチからNDMAが同定されました。このデータから、この会社の調査が不十分であることが証明されています。

この会社は、他のファクターを調査しませんでした。例えば、使用したすべての原料の包括的な評価をしていません。

また、バッチのブレンドや溶剤回収、氏使用、製造ラインの共有、クリーニング手順などのNDMAの交叉汚染のリスクを評価していません。

さらに、他の突然変異原性不純物に可能性を評価していません。

査察官は、クロマトグラムに見られた未知のピークに対するこの会社の不適切な調査について報告しています。たとえば、バルサルタンの中間体◯と◯未知の不純物の試験に不合格になっています。両方のバッチは◯%の結果でした。この会社のアクションプランは、調査の一部として不純物を同定することも示していますが、それをしませんでした。それにもかかわらず、根本原因は未知の不純物の存在であると結論づけています。そして、そのバッチを再加工して、出荷判定したことを述べています。

(“..)φ;調査の安易な結論づけの典型例ですね。

 

2.この会社は、製造工程の変更がAPIの品質に及ぼす影響を評価していませんでした。

この会社は、溶剤◯の使用を含むバルサルタンAPIの工程の変更を、2011年11月に承認しています。これは、収率を上げてコスト低減するための製造工程の改善が目的でした。しかし、新規工程の変異原性不純物の生成の可能性を十分評価していませんでした。

工程の変更を承認する前に、予期しない不純物を適切に検出し、管理されていることを保証するための追加の分析法の必要性を評価していませんでした。