FDA Warning letter(320-18-50 ):API(インド):クリーニングバリデーション
医薬品GMPに関するFDAのWarning letterで、クリーニングバリデーションの指摘事項を紹介します。対象の会社は、インドのAPI製造施設です。
この会社が指摘されたのは、1)分析法のバリデーション; 2)データインテグリティ; 3)機器のクリーニングとメンテナンスに関する3項目です。この中から、機器のクリーニングとメンテナンスに関する項目を読解します。
警告書の情報は、以下のとおりです。
WL#:320-18-50
日付: 2018年5月9日
発行オフィス:CDER
対象会社: Reine Lifescience(インド)
対象品: API
査察期間:2017年10月30日~11月3日
回答受理日:2017年11月23日
GMP違反:3項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm607583.htm
指摘事項3は、"Failure to adequately validate written procedures for the cleaning and maintenance of equipment."と題されています。すなわち、「機器のクリーニングおよびメンテナンスの手順書を適切にバリデートしていなかった」わけです。
この会社は、APIをアメリカに出荷しています。そのAPIは、まだクリーニングバリデーションが完了していない多品種汎用装置を使用して製造したものでした。
APIの出荷の後で、この会社はクリーニングバリデーションの報告書を提出したのですが、ワーストケースの製品を使ってクリーニング方法の評価をしたことが書かれていませんでした。FDAは、適切なクリーニングバリデーションをせずに、同じ装置で製造した他のAPIの交叉汚染を防ぐことは保証できないとしています。
(..)φ;ワーストケースの製品を使用して評価していないので、クリーニングバリデーションは適切ではないということですね。または、そのようなことが報告書に書かれていないので、クリーニングバリデーションが適切であることを保証できないということです。
この会社は、「クリーニング後のリンス水とAPIの最終製品のサンプルは規格内であった」と回答しています。さらに、「将来は米国市場に出荷する前に、承認されたクリーニングバリデーション計画書にしたがってクリーニングバリデーションを実施する(will)」とも述べています。
しかし、この会社の回答は不適切であると評価されました。その理由は、製品が出荷された時点で使っていた「限定的なサンプリング方針(the limited sampling strategy)」の合理性を記述していなかったためです。さらに、「ワーストケースの条件の代表として特定されたAPI」のクリーニング方法も評価していませんでした。詳細なCAPAについても述べていませんでした。
(..)φ;上記の「 」内は、「ワーストケースのAPIの方」がわかりやすいですね。すなわち、「ワーストケースのAPIのクリーニング手順を評価していなかった」というわけです。
FDAは、この会社のクリーニングバリデーションとクリーニング手順に関する包括的な是正措置及び予防措置を求めています。それが、以下の3点です。
・クリーニングバリデーションを実施する以前の、API、リンス、スワブのサンプルの規格に関する科学的根拠。
・ワーストケースの条件を組み込むための、クリーニングバリデーション計画書の改訂の要約。この要約には、毒性の最も高い医薬(drugs)、洗浄溶剤で最も溶け難い医薬、そして様々な装置の最も洗浄が難しい場所のスワブを含めること。
(..)φ;FDAは原薬を"drug"と定義しています。ちなみに医薬品は"drug product"です。
・新たな製品、工程、装置のクリーニング手順のベリフィケーションとバリデーションに関する適切なプログラムを保証するために改訂されたSOPの要約。
(..)φ;ICH Q7に書かれていることですね。分かっているのですが、当局の査察官を納得させるようなバリデーションができているかどうかが問題ですね。