GMPを勉強しよう-81-MHRA データインテグリティのガイダンス 2018年(6.11.1)

Original record(オリジナルの記録)

オリジナルの記録の定義は、「最初に保存したデータや情報またはその保存場所」です。それに続いて、例をあげてくれています。例えば、「マニュアルで観察したオリジナルの紙の記録や、コンピュータシステムの電子生データのファイル」などです。その後のデータは全て、GxP活動を完全に再現できなければなりません。そして、オリジナルの記録は、静的でも動的でもよいと言っています。

(“..)φ;原文は” Original records can be Static or Dynamic.”です。静的にも動的にもなり得ると言っていますので、紙でも電子でも良いということですね。ただし、いろいろ条件がありますので、この部分だけをクローズアップして判断しないようにしましょう。

紙や電子記録などの静的記録フォーマットは、固定されたものでユーザーが記録の内容に影響を及ぼせない形式です。即ち、ユーザー側がデータに何かをしても、一方通行になるだけで、データからはそれに対する反応がない状態になります。例えば、クロマトグラフィーの記録(クロマトグラム)を一旦印刷または静的電子フォーマットに変換したら、再処理能力が失われます。また、ベースラインをもっと詳細に表示することができます。

(“..)φ;紙の記録は、こちらから訂正することはできます。しかし、それは斜線を引いて書き直すことができるだけで、紙の記録が書かれた内容を変えることはありません。このように、ユーザーが何かをしても紙自体は反応しないというようなものが静的記録フォーマットです。電子記録を例えばアノーテーション機能を無効にしてPDFに変換した場合も、同じような状況になります。

逆に、電子記録のような動的記録フォーマットは、ユーザーと記録の間で双方向の関係が成り立ちます。例えば、データベース形式の電子記録は、ユーザーがデータを追跡したり、トレンド分析したり、検索したりすることができます。クロマトグラムは、電子記録として維持され、アクセス権限のあるユーザーやレビュー者がデータを再処理したり、ベースラインを拡大して、もっと鮮明な解析を観ることができます。

(“..)φ;動的記録フォーマットは、エクセルのようなものを思い浮かべてみて下さい。エクセルに記録が書かれています。ユーザーがこの記録の内容に手を加えたいとします。「えいっ」と入力すると、エクセルはそのとおりに反応してくれます。1と打てば記録が1になり、それを2と打ちなおせば記録が2となります。すなわち、双方向にコミュニケーションがとれるわけです。このようなものが、動的記録フォーマットです。

ソースデータのオリジナルコピーを保持することができず、実現できない場合は、そのリスクや緩和を文書化するべきだと言っています。それはどんな場合か、例をあげています。即ち、MRIスキャンのようなもので、ソースマシンが使用者の管理下になく、オペレータは統計の要約のみ提供可能な場合です。

(“..)φ;ソースマシンって初めて聞きますよ。ここまで来ると、コンピュータシステムの専門家の領域じゃないでしょうか。僕には、丁寧に説明することができません。義理の弟が専門家なんですが、横文字が多すぎて説明がわからないレベルです。言えることは、「オリジナルコピーを保持することが非現実的な場合…」について書いてあるということです。 (~_~;) 

生成したデータをマニュアルで観察する必要がある場合について説明しています。それってなんでしょう。例えば、マニュアルの滴定の結果、環境モニタリングの平板を目視で確認することだそうです。

(“..)φ;コンピュータが自動的にデータを読み込んでくれないシステムですね。

この場合、そのプロセスはリスクアセスメントして、その重大性に応じて、結果を別の手段で保存することができると言っています。

(“..)φ;今までそうしてきたし、なんか当たり前の話のように見えますね。どうして、こんなこと書いたんでしょうか?その理由については、ここには書かれていません。個人的に邪推すると、「品質に影響するようなものは、見た目を紙に書いて終わりにしないで、証拠を残しておけよ」とプレッシャーかけてきてるな…と。例えば、「写真で証拠を残せ」「自動リーダーで記録を残せ」「口ではなんとでも言える。お前なんか信じるもんか」と、言葉が過ぎましたが、そんなことなのかな~と思うんです。