GMPを勉強しよう-70-MHRA データインテグリティのガイダンス 2018年(5.2)

他の作業者に代わって活動を記録する代筆者は、正当化されれば検討可能です。例えば、

・実施時点で同時に記録すると、製品や活動を損なう恐れがある場合。例えば、無菌作業者によるラインへの介入を記録することなど。

・解剖(GLP)

・文化や識字/言語能力に制約がある場合への対応。例えば、作業者が実施し、第2者が証人となって記録する。

(“..)φ;文化の違いとは、どんなことなのか、日本にいるとわかりません。どんなことなんでしょうか?個人的な想像ですが、「身分が違うのでここに書いてはいけない」ということがあるかもしれませんね。外部の人がメンテナンスをした場合、社内文書のログブックは社員が代筆するなどというのもこの類になるかもしれません。そのようなときは、記入項目やSOPの作成に注意する必要がありますね。

そのデータの重要性によって適切な管理が確実できるようにします。その間は、アクセス、使いやすさ、置き場所など容易にできるような検討をすべきであると言っています。

このセクションで例をあげたような状況では、タスクの実行中に第2者が同時に記録すべきだと言っています。記録には、実施者と第2者(筆記者)を識別しなければなりません。

(“..)φ;基本的に署名ですね。欧州ですので、記録用紙に実施者と記録者を予め記入して起き、各作業のステップごとに作業実施の確認(署名)をすることになります。

可能であればと但し書きしていますが、実施者は後で連署(countersign)します。この連署は、実施と同時でなくてもよいです。実際、同時に記録できませんので。このような監督的文書化(supervisory (scribe) documentation)は、手順書に記述しておく必要があります。

ここから先の第6章は、用語の定義です。と同時に、その用語に関連するGxPの要件を解釈しています。ドラフトと多少変っています。

例えば、「ALCOAプラス」を説明していて、このガイダンスでは"ALCOA"を採用すると言っています。私は個人的には、この方針に賛成です。

また、「生データ」の定義はドラフトに比べてスッキリしました。

(“..)φ;MHRAのドラフトでは、生データの定義が少しややこしく、FDAの定義がベースにある人には別のもののように思われたのではないでしょうか。ドラフトの記述のままでも、GMPを遵守して記録すれば、MHRAもFDAも同じ結果になるのですが、多少意味合いが違いました。MHRAも「生データの定義は、他のガイダンスが示す定義と、若干異なるかもしれない…」(出典省略)と言っていました。しかし、最終版でスッキリしましたね。

「監査証跡」の定義は、 “who, what, when and why”を書き足していますので、よりはっきりしました。

これで「MHRAのデータインテグリティのガイダンス」の解説を一旦終了します。

用語の定義は、データインテグリティを解釈するために必要な必須知識です。銘銘精読していただきたくお願いをして擱筆します。(^^)/