FDA Warning letter (320-18-38):受託試験施設(フランス):分析法バリデーション;OOS
医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、フランスの受託試験施設です。
指摘は、1)分析法のバリデーション; 2)OOSに関する2項目です。
ガラス器具の汚れがOOSの根本原因として回答された例です。
WL#: 320-18-38
日付: 2018年3月5日
発行オフィス: CDER
対象会社: Quali-Controle & Quali-Controle C.E.BAC(フランス)
対象品: 契約試験
査察期間:2017年9月14日~15日
回答受理日:2017年10月6日
GMP違反:2項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm599876.htm
<指摘事項の解説>
1.この施設では、試験法の真度、精度、特異性、再現性(reproducibility)を確立し、文書化しませんでした。(21 CFR 211.165(e))
例えば、顧客の医薬品を分析するために使用した公定法に記載されていない試験法を、バリデートしていませんでした。
この会社の回答書では、COAにコメントしていることで、顧客にバリデートされていない試験法を用いていることを伝えるとしています。そして、今後は適切な試験法の移転またはバリデートされた試験法が必要であることも伝えるとしています。
本来、バリデートされた試験法を使用しなければならないので、注意書きしているとはいえCOAの発行をすることはできませんね。(“..)φ;この状況は、GMPを守って試験をせずにCOAを発行したことになります。ということで、回答書は不適切と判断されました。
2.この会社は、不明の不一致や失敗を十分に調査していませんでした。(21 CFR 211.192)
ある分析サンプルは、原子吸光分析でOOSが出ました。それを再試験した結果もOOSでした。3度目に行った試験で、結果が規格内に入りました。この会社は、正当化も調査記録もなしに、これらOOSの結果を無効としました。
(“..)φ;すなわち、サンプルは合格となったわけです。
この会社の回答書では、調製や試験で使用したガラス器具が汚れていたことが根本原因であると述べています。この問題を解決するために、使用前にガラス器具をリンスすると述べています。
(“..)φ;事前に洗えばよいという問題ではありませんね。これは、ガラス器具の洗浄、乾燥、保護保管の不備を、リンスという下流管理で打ち消そうとしている例です。このような論理展開は、品質を保証するというGMPの領域では通用しません。「下流管理はだめ」と覚えておきましょう。
結果的に、OOSの十分な調査をせず、CAPAも適切ではないと指摘されました。