FDA査察の結果(その3)

FDA査察では、FDA-483を受け取った日から15 business days(すなわち、カレンダー日で3週間)以内に、是正のための回答書をFDAの手元に必着させなければなりません。回答書には、是正のみならず、予防処置に関する記述も必要で、それらのスケジュールと、改善活動を保証するための証拠文書や支援文書も必要です。

これは、全て英文で提出しなければなりません。違反が指摘されている会社ですから、提出文書に誤字脱字や文法の間違いなどケアレスミスがあれば、「ミスをチェックできない会社?」と印象を悪くします。そのため、十分な推敲も必要です。

詳しい対応の方法は別の機会に譲るとして、回答書を提出するまでに、調査、是正処置の検討、スケジューリング、証拠文書の作成、回答書一式の翻訳をしなければなりません。指摘事項が1件ならともかく、何件もあれば大変な労力になります。そのうえ、翻訳の資源を持たない会社は、翻訳者の確保と翻訳日数を考えておかなければなりません。

これらを全て行って、3週間以内にFDAの手元に必着なのです。とても大変です。回答書を提出しても、不十分であればOAIになってしまいます。そのような精神的は苦痛も味わうことになります。

通常VAI評価を受けた会社は査察をパスしたと言われていますが、これは仮釈放のようなものですので、その後のフォローアップを十分行う必要があります。

このような目にあうよりは、NAI目指して最初に苦しんでおいた方がよいと個人的には思います。「後で涙を流すより、先に汗を流せ」、「いつ苦しむのか?今でしょ」的な対応が理想的です。