FDA Warning letter(320-18-59):API(中国):残留試験;クリーニングバリデーション;安定性試験;データインテグリティ

今週は、FDAの警告書が2通出ていました。1通は中国のAPI製造施設で、もう1通は中国のOTC受託製造施設です。さらに、調剤薬局の警告書も1通出ています。

今回紹介する対象会社は、中国のAPI製造施設です。

(..)φ;中国をP.R.C.と書いたWarning letterを(私は)はじめて見ました。Made in PRCは、Made in Chinaです。

指摘は、1)残留試験; 2)クリーニングバリデーション; 3)安定性試験; 4)データインテグリティに関する項目です。


WL#: 320-18-59
日付: 2018年6月22日
発行オフィス: CDER
対象会社: Sichuan Friendly Pharmaceutical Co., Ltd.(中国)
対象品: API(中国)
査察期間:2017年10月23日~27日
回答受理日:2017年11月17日
GMP違反:4項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm612389.htm


 

<指摘事項の解説>

1.この会社は、所定の品質と純度の適合を保証するための科学的で適切な試験手順を持っていませんでした。

溶剤の残留試験を実施せずに米国に出荷されていました。APIの中間体と最終製品の残留レベルの試験をしていませんでした。

そして、複数の製品が共通の製造装置で、複数の溶剤で製造されていました。その溶剤のなかには、クラス2のものもありました。

 

2.装置のクリーニングとメンテナンスのためのバリデーション手順が不適切でした。

この会社は、クリーニングバリデーションを適切に実施していませんでした。汎用装置の交叉汚染を防止できるものではありませんでした。すなわち、クリーニングバリデーションに一つのAPIだけした使用しておらず、選定された装置も限られていました。

回答書は、交叉汚染の可能性がある様々なAPIをリスクベースで選定していませんでした。

 

3.APIのオンゴーイング安定性モニタリングと、その結果を保管条件及びリテスト日や有効期間の確認に使用した記録がありませんでした。

APIの使用期限をサポートするデータは、査察中に確認できませんでした。

この会社は、USPとは異なる薬局方で試験をして、データはこの医薬が安定であることを示したと回答しました。

(..)φ;USPではないのでだめでした。

 

4.この会社は、未許可のアクセスやデータの変更を防止するコンピュータシステムの管理が不十分でした。

バリデートしていないエクセルを使って、分析結果を計算していました。FDAの査察官は、このスプレッドシートはパスワード管理がされておらず、ロックを欠けていない計算式は間違っていました。

(..)φ;ロックがかかっていないので、作業しているときに変わってしまったのかもしれません。または、都合のよい結果が出るように細工したのかもしれません。以前、○を超える値が出ないように操作されていた指摘事項がありましたね。