GMPを側面から考える

製造記録や試験記録に注記する欄を設けている会社と、空きスペースに注記する会社があります。紙の記録の場合、結論はどちらでもよいのですが、すこし別の角度から見てみたいと思います。

「注記を記録の空いているところに書く方法と、あらかじめ記録欄を設けておく方法があると思いますが、(米国では)どちらが一般的ですか?」

昔、こんな質問がありました。電子記録が今ほど普及していない時の質問です。電子記録はどこでも記入できるようではまずいですね。入力スペース以外は、保護されていなければなりませんので、忘れてください。

当時の米国では、ほとんどのバッチ記録(紙の記録)に注記用または説明用のスペースはありませんでした。

なぜなら、バッチの注記がルーチンに発生することを予測していないからです。

バリデートされた方法で、承認されたSOPに従って、クオリファイされた装置、機器を使用して製造または試験をするわけですから、逸脱が日常的に発生することは予想していないわけです。問題が発生しないオペレーションなので、毎回「特記すべき異常はなかった」とわざわざ書く必要は無いわけです。

したがって、各ページに空欄を設けるのは無駄なスペースになります。注記はバッチ記録のそのページの空いたところに書きます。もちろん、これら(逸脱報告を必要としない)マイナーな注記を記録するための記入欄をバッチ記録に設けておくことは、悪いことではありません。

別の角度から眺めてみると、「GMPを守る」ことが先にあるのがわかります。ちょっと引いてみると、GMPの見え方が変わりますね。