GMPを勉強しよう(深堀りGMP5)逸脱に関する解釈
大体"deviations from…"という文脈になっています。”from”に続く単語は何か?探ってみましょう。すると、以下のような文章が続いています。
・specified procedures
・the Manufacturing Formula and Processing Instructions
・the Packaging Instructions
・instructions or procedures
・procedures
・the expected yield
・the protocol
よく見ると、手順書 “written procedures" “documented prosedures"は一言も出てきません。省令と同じように「手順」なのです。
逸脱は「手順書からの逸脱」だけを言うという解釈は、間違っていることが分かります。
ICH Q7には「逸脱」の用語の定義が載っています。
“Departure from an approved instruction or established standard.”
ICH Q7 R1, 2016
こちらも「手順書」と言っていません。
すなわち、「手順書からの逸脱」を逸脱と言っている身近なGMPはないということです。「手順書からの逸脱」は、私たちの勘違いであることが解ります。
前述の「ポンプの故障」は、装置のクオリファイされた水準からの逸脱、またはメンテナンスの計画(protocol)からの逸脱を意味しますので、ICH Q7の “established standard"または"approved instruction"からの逸脱ということになります。「逸脱」という言葉は使わなくても、逸脱と同じように適格な状態を維持できなかった原因究明と対策(CAPA)は必要になります。この部分の説明は、もう少し多くの紙面を要しますので、またの機会にしましょう。
ちなみに、PIC/S GMPではこのような状況を「逸脱」という言葉だけでは表現していません。次の用語は、PIC/S GMPの中で使用されている類似の言葉です。
”deviation; excursion; departure; discrepancy; atypical situation,
; non-conformity”
すべて原因究明と対策が必要です。