FDA Warning letter(320-20-35):OTC無菌医薬品:無菌工程の環境モニタリング
今回の対象会社は、韓国のOTC無菌医薬品製造施設です。
この会社は、米国向けの当該OTC医薬品の製造を中止すると回答しましたが、現在米国で流通している製品に対する措置が不足していました。
指摘は、1)試験法バリデーション;2)無菌工程の環境モニタリング;3)職員の教育訓練に関する3項目です。
ここでは環境モニタリングについて取り上げました。分離菌の同定に関する問題です。
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WL#: 320-20-35
日付: 2020年5月13日
発行オフィス: CDER
対象会社: Samchundang Pharm Co., Ltd.(韓国)
対象品: OTC無菌医薬品
査察期間:2019年10月17日~25日
回答受理日:2019年11月14日
GMP違反:3項目
掲載サイト:
https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/samchundang-pharm-co-ltd-599255-05132020
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<指摘事項の解説>
2. この会社は、無菌工程区域の適切な環境モニタリングシステムを確立しませんでした(21 CFR 211.42(c)(10)(iv))。
具体的には、無菌工程区域で単離された菌を同定していませんでした。この会社のSOPでは、単離菌株はコロニーの形態観察でグループ化して、グループからただ1つの単離菌を種まで同定していました。
(“..)φ:種まで同定しているものの、目視で選別して選択的に行っていたため、適切な同定システムではないということです。
人のモニタリングのプログラムでは、無菌工程作業に従事する職員に対して、アラートリミットとアクションリミットを1プレートあたりそれぞれ3 CFUと4 CFUに設定していました。通常、無菌工程区域で作業する職員は、作業中汚染しない状態を維持(原文は”maintain contamination-free”)するべきです。FDAは、それに応じたアクションリミットを設定することが大切であると言っています。
環境および人の不適切なモニタリング方法は、この施設の微生物の種類と汚染レベルを曖昧にするかもしれません。環境および人のモニタリングは、施設の管理状態の情報を提供します。((“..)φ:ここは、伏線です)
ISO5区域〔クラス100のことです〕で活動する職員のサンプルから観察された菌〔種類とレベル〕を適切な調査の引き金にすべきであると言っています。
この会社は、微生物同定の手順を改訂して、「グレードAとB」区域の全ての単離株を同定することと、形態と鏡検の記録をつけることを回答しました。さらに、「区域、作業条件、区域のクラス分類、異なる採取方法(セトルプレート、エアーサンプル、表面モニタリング、人のモニタリング)および形態のタイプ」に基づいて、分離株のグルーピングをするとも提案していました。
しかし、FDAは回答が不適切であると判断しました。その理由は、環境および人のモニタリングの欠陥と市場の医薬品への影響に対して包括的に取り組まなかったためです。それから、隣接区域の微生物に対して種レベルの同定を頻繁に行わなかったためです。
(“..)φ:隣接区域に関しては、「それが適切なら属レベル」とカッコ書きしており、同定の頻度は”frequent identification”と言っています。常に行う必要はないものの、正当化せずに長期間行わないのはまずいと思います。
(“..)φ:さて、どのように判断したらよいでしょうか?最後に演習として提案します。この文章の中に” in the ancillary cleanrooms beyond your aseptic processing room to maintain a current and valid database.”という文章が含まれています。キーワードかな?