GMPを勉強しよう-66-MHRA データインテグリティのガイダンス 2018年(4.1~4.2)

第4章は、データの重要性とリスクについて述べています。6セクションで校正されています。セクション4.3は、第4章の中では最も大きなセクションで、紙、電子、ハイブリッドの記録について述べています。

ドラフト版との大きな違いは、システムの複雑性をマトリクスにした図表(Figure1)がなくなったことです。理解しやすかったのでいいなと個人的には思っていたのですが、なくなってしまいました。

(“..)φ;背景が異なる条件(例えば、データのリスクとか)で引用されると誤解を招くと思ったんでしょうかね。線引きがはっきりしていますので、そのような危険性はありますね。この表はシステムの複雑性だけを示しています。

理由はわかりませんが、今回のガイダンスでは文章による説明に留めています。が、しかし……載せたい!(-_-;) えいっ!載せちゃいます。

 

さて、セクション4.1は、データの重要性について次の様に述べています。

データは、品質、安全性、有効性を決定するために、さまざまな重要性を持っています。

原文は、”varying importance”です。データの重要性は、意思決定段階でどのように使用されるかを考慮して決定されるかもしれないと言っています。ちょっとわかりにくいですね。どこで線を引くのか、どんなデータが重要なのか知りたいところですね。少しそれますが、Part 11のリスクベースのアプローチでも、詳しい例は出ていませんでしたね。例えば、「バッチ製造記録はリスクが高いが、教育訓練記録はそうでもない」なんてね。基本的に、前述のリスクアセスメントによるということで理解しておきましょう。その組織や製品・工程などによって、使用のしかたが異なるものは、ガイダンスの中で一言で提案できません。いわゆる「ケースバイケース」で処理していくことになります。

このガイダンスでは、データのリスクは、未許可で削除、修正、除外される可能性と、その行為や事象を検出する機会によって決まると言っています。

(“..)φ;検出確率が述べられていますので、リスクアセスメントのツールはFMEAをイメージしているようです。

そして、データのリスクは、複雑性、容易に変更可能な一貫性のないプロセス、主観的な結果によって増加すると言っています。すなわち、単純なプロセスより複雑なプロセス、容易に変更可能なプロセスより一貫性のあるプロセス、客観的な結果より主観的な結果のほうが、データのリスクが大きいと言うことです。