EUガイドライン要旨:添加剤のGMP適用に関するリスクアセスメント

“Guidelines on the Formalised Risk Assessment for Ascertaining the Appropriate Good Manufacturing Practice for Excipients of Medical Products for Human Use, 05/02/2013”

「添加剤のGMP適用に関するリスクアセスメント」のパブリックコメント用ドラフトの要旨をまとめました。原文は、以下のサイトに掲載されていますので、ご参照ください。http://ec.europa.eu/health/files/gmp/2013-02_guidelines_excipients_cons.pdf

作成者注(“..)φ1:これは概要を理解するための参考文書です。 翻訳文書ではありませんの で、正確な解釈は原文(英語)を参照ください。
作成者注(“..)φ2:Manufacturing Authorisation Holderを製造承認所有者と訳しました。
作成者注(“..)φ3:Excipient Manufacturer を添加剤メーカーと訳しました。

1 はじめに
1.
・ Article46(f)Directive2011/83/ECは以下のように規定している。
・ 製造承認所有者は、適切なGMPを確定することで、添加剤が医薬品への使用に適していることを保証すること。
・ この適切なGMPは、正式なリスクアセスメントに従って確かめること。
・ そして、そのGMPが適用されていることを保証すること。
・ 製造承認所有者は、このパラグラフの方法を文書化すること。

2.
・ Article47 Directive2011/83/ECは以下のように規定している。
・ 委員会は、添加剤の適切なGMPを確定するための正式なリスクアセスメントのガイドラインを受け入れること。

3.
・ ガイドラインは以下のように述べている
・ セクション2:「添加剤のタイプに基づく適切なGMPの決定」は、添加剤の呈するリスクをどのようにアセスメントしてランク付けするかのガイダンスを提供する。
・ セクション3:「添加剤メーカーのリスクプロファイルの決定」は、適切なGMPの識別と、添加剤メーカーのリスクプロファイルのアセスメント、ランキング、コントロールも対象範囲である。
・ セクション4:「適切なGMPの適用の確認」は、添加剤の使用のリスクを現行ベースでどのように管理するかのガイダンスを提示する。

4.
・ 添加剤のリスクアセスメント/リスクマネジメント手順は、製造承認所有者の品質マネジメントシステムに組込まれること。

5.
・ 医薬品の輸入業者は、自社の事業所で使われている添加剤の適切なGMPに関するリスクアセスメント/マネジメント文書を所有しなければならない。

2.  添加剤のタイプに基づく適切なGMPの決定
6.
・ ICH Q9は、医薬品の品質の異なる局面に適用可能な、品質リスクマネジメント(QRM)の原則と事例を紹介している。
・ この異なる局面は、添加剤を含む。

7.
・ QRMの原則は、各添加剤の品質、安全性と機能に存在するリスクの評価と、添加剤を「低リスク」、「中程度のリスク」、「高リスク」のように分類するために用いること。
・ QRMのツールを、この目的に用いること(例えば、HACCP)。

8.
・ 各添加剤に用いるため、製造承認所有者は添加剤の品質、安全性、機能に存在するリスクを、その由来(動物、鉱物、植物、合成など)から最終投与剤形に至るまで、特定すること。
・ 次のことを考慮すること:
・ TSE
・ ウイルス汚染の可能性
・ 微生物、エンドトキシン/パイロジェン汚染の可能性
・ 原料由来(アフラトキシン、農薬など)または工程の一部として発生したり、キャリーオーバーした不純物(残留溶剤、触媒など)の可能性
・ 無菌性の保証(無菌添加剤に対して)
・ 専用装置や施設の使用
・ 環境管理と保管条件

9.
・ 製造承認所有者は、添加剤の機能と使用に関しても、以下を考慮すること:
・ 添加剤を含む医薬品の剤型(軟膏、注射/輸液など)と使用
・ 製剤時の添加剤の機能(錠剤の滑沢剤、液剤の界面活性剤など)
・ 医薬品の製造に用いる添加剤の量
・ 添加剤の1日投与量
・ 添加剤の世界レベルおよび一国の会社レベルの両方に関する品質不良
・ 添加剤は複合体か
・ 重要品質特性(CQA)の影響の可能性

10.
・ 添加剤のリスクプロファイルを確立して、文書化したら、製造承認所有者は添加剤の品質の管理と維持のために必要と信じるEU-GMPの要素を確立して文書化すること。

11.
・ 添加剤の由来、サプライチェーン、その後の添加剤の使用に依存して変化するが、以下の高レベルのGMPの原則は考慮すること:
・ 効果的な品質保証システム(QAS)の構築と実施
・ 有能かつ適切なQP
・ 製造および品質管理活動の管理監督者の職務記述(書)
・ 製造および品質活動に関与するすべての人員の訓練プログラム
・ 健康、衛生、更衣に関する訓練プログラム
・ 意図した作業に適した建物、設備の規定とメンテナンス
・ さまざまな製造及び品質作業の工程と規格に関する文書システム(添加剤のバッチの有効期限後少なくとも1年以上のバッチ記録の保管を含む)
・ 出発物質、中間体および添加剤の完全なトレーサビリティーがとれるコード化と識別のシステム
・ 品質管理全体の責任者のもとで独立した品質管理部門の規定と維持
・ EUGMPが求める期間、出発物質と添加剤の記録の保管と添加剤のサンプルの保管
・ 契約作業を契約書にすることを保証するシステム
・ 苦情を受理し、製品の回収ができる効果的なシステムの維持
・ 定期的な自己点検プログラム
・ 識別されたリスクを管理するために必要なその他(非GMP)の方法

3.  添加剤メーカーのリスクプロファイルの決定
12.
・ 添加剤メーカーの活動と能力に対するGMP要件のギャップ分析を実施すること。

13.
・ これをサポートするデータ/証拠は、監査または添加剤メーカーから受け取った情報を通して入手すること。

14.
・ 添加剤メーカーが有する品質システムの認証または認定書と承認されたその標準は、GMP要件に適合しているとみなす。

15.
・ GMP要件と添加剤メーカーの活動および能力とのギャップは、文書化すること。
・ 製造承認所有者は、リスクプロファイルを決定するための、さらなるリスクアセスメント(添加剤メーカーの低リスク、中リスク、高リスク)を実施すること。
・ 添加剤メーカーのリスクプロファイルを分類するために、ICHQ9を利用することを提案する。
・ HACCPなどのQRMのツールをこれに用いること。

16.
・ 製造承認所有者は、管理を通じたリスクの許容から異なるリスクプロファイルの非許容に及ぶ、一連のリスク低減化の方針を有すること。
・ これらの方針にもとづいて、管理方針(監査、文書の検索、試験など)を確立すること。

4.  適切なGMPの適用の確認
17.
・ 添加剤の「適切なGMP」とメーカーのリスクプロファイルが明確になったら、継続的なリスクレビューが以下のようなメカニズムを通して実施されること:
・ 受け取った添加剤のバッチの欠陥の数
・ 添加剤の欠陥のタイプ/重大性
・ 添加剤メーカーの該当する品質システム認定の喪失
・ 医薬品品質特性のトレンドの観察(これは添加剤の性質と役割による)
・ 添加剤メーカーの監査(再監査)