システム査察の概要(4):査察結果を左右する重要領域(システム別)

GMP遵守を怠るとクリティカルな指摘となる可能性のある領域です。ちなみに、FDAは各観察事項に対して、Critical、Major、Otherなどのランク付けはしていません。FDAは、FDA-483にリストする観察事項を重要度順に記載します。そして工場全体の評価として、OAI、VAI、NAIに分けています。

以下の領域は、システム査察対応で最も重要な項目と位置づけ、まずはこの領域のSOPや記録の整備を行いましょう。各領域に関連するSOPは一つとは限りません。どこまでを範囲とするか、その選択はQAの腕の見せ所ですね。

品質システム

1) レビュー/承認手順
2) 実施した作業の記録
3) 文書化のレビュー
4) 不一致/失敗/逸脱/苦情の調査と解決
5) GMPとSOPの順守を保証するための他の5システムの評価

設備および装置システム

1) 汚物、好ましくない微生物、毒物、他の医薬の汚染または、空中や非清浄な装置など汚染経路が明らかな確かな汚染の可能性
2) 非専用装置のクリーニングバリデーション。専用装置のクリーニングの効果の証明。
3) 不一致の調査の文書化。
4) 装置の変更のための変更管理システムの構築/実行。
5) 装置(コンピュータも含む)の適格性の確認。

原材料システム

1) 規格不適合の原料の使用または出庫。
2) 原料の特異的な同一性確認試験の実施。
3) 不一致の調査の文書化。
4) 原料の取り扱い作業の変更のための変更管理システムの構築/順守。
5) 水の用途に応じた水システムのバリデーション。
6) コンピュータ化工程のバリデーション。

製造システム

1) 製造システムの作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) プロセスバリデーション。
4) コンピュータ化工程のバリデーション。
5) バッチ製造記録の不十分や欠落(完全性)。
6) 工程管理、試験、規格の不適合。

包装および表示システム

1) 包装表示作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) コンピュータ化工程のバリデーション。
4) 不正表示につながる包装表示作業。
5) 包装のバリデーション。

試験室システム

1) 試験作業の変更に関する変更管理システムの構築と順守。
2) 不一致の調査の文書化。
3) コンピュータ化または自動工程のバリデーション。
4) 不適切なサンプリング。
5) 分析法のバリデーション。
6) 分析手順の順守。
7) 適切なOOS手順の順守。
8) 生データの保管。
9) 安定性試験。
10) 安定性計画の順守。