ワークショップの課題を作ろう 第2回:実際の運営方法
■「与件」を作る
私は、ワークショップの課題として書かれた情報を「与件」と呼ぶことがあります。
与件には、できるだけ具体的なファクトを入れます。「苦情が増えていた」より、「3か月間に複数バッチから35件の苦情があり、約156バッグでリークが報告された」の方が、考える材料になります。「患者が発見できる」より、「製品ラベルには使用前に漏れを確認するよう記載されており、会社は使用者が治療前に容易に発見できると評価した」とすれば、「これは事実なのか」、「会社の判断なのか」というところまで考えることができます。
与件に「事実」「会社の判断」「規格や手順」「過去の履歴」などを入れると、少し現実の仕事に近づきます。
しかし、一つ注意しなければならないことがあります。「FDAはこの判断を不適切と評価した」まで書いてしまうと、もう答えが書いてあります。
ワークショップでは、どこまで情報を出し、どこから考えてもらうかが大切です。
■自分流―西山個人の進め方
私がよく使うのは、
個人ワーク → グループディスカッション → グループ発表 → ファシリテーター講評 → 質疑応答・フリーディスカッション
という流れです。
最初に個人ワークを入れるのには理由があります。
いきなりグループディスカッションを始めると、経験のある人や話すのが得意な人の意見に、最初から全員が引っ張られることがあります。その前に数分でも、「私はこう思う」という自分の考えを持ってもらいます。
そうすることで、グループ全員が自分の意見を伝えやすくなります。さらに、個人の意見を持ったうえで他の人の意見を聞くと、「あ、そういう見方もあるのか」という気づきが生まれます。
私は、この瞬間がワークショップの一番大事なところではないかと思っています。
グループは6名程度が話しやすいと思います。そして、ファシリテーター1名で見るなら4グループくらいまでが、各グループの様子を見ながら方向を少し修正できる範囲ではないかと思っています。
ですから、私の講座は定員24名としています。もちろん、絶対的な人数ではありません。ここにも一種のスパン・オブ・コントロールがあります。※これは、対面で行うセミナー&ワークショップの場合です。ウェビナーのように、一度画面越しになって参加者の反応がつかみにくい場面では、全体を見渡すことが難しくなりますので、より少人数で行うことが理想的だと思います。
■ファシリテーターは「答えを教える人」ではない
これも大切だと思っています。
ワークショップ中に参加者が少し違う方向へ行ったとき、すぐに、「それは違います」と言ってしまうと、そこで議論は終わります。むしろ、「なぜそう考えましたか」、「その判断を裏付ける情報は何でしょう」、「反対の立場から見るとどうでしょう」と問い返すことで、参加者自身で考える機会ができます。
ファシリテーターは、交通整理をする人と考えるとよいかもしれません。そして、最後の講評ではじめて、規制要件や実際のWarning Letterの結論を示します。
【第2回終了】

