教育訓練担当者養成講座4:補足説明

e. 実務に関する教育訓練には、技能および技術の実技訓練が含まれます。(19①関係逐条解説②)

責任者は、各職員の技能および技術をどこまで把握していますか。教育訓練記録と適格性評価の記録はチェックできそうですね。しかし、これらの技能や技術の個人に対する目標や部門長の期待を把握していますか。それを把握していないと十分な教育訓練プログラムを策定することはできないかもしれません。教育訓練の実効性に関して、逐条解説は「職員、組織、部門等ごとに業務の種類、内容等に応じて、必要な知識並びに技能及び技術の習熟度を踏まえ…」と言っています。〔これを踏まえるためには、部門長とのディスカッションや個人の職務記述書をのレビューが必要になります。〕

技能と技術の違いについても理解しておきましょう。大雑把に言えば、「技能」は職員に帰属する特有の能力で、「技術」は文書化して共有することができる術です。英語で言うと、前者がスキルで、後者がテクニックです。

この簡単な説明の後で、もう一度上述の逐条解説を読んでみましょう。「必要な知識並びに技能及び技術の習熟度を踏まえ…」とは、各職員の技能の習熟度を把握して教育訓練プログラムを作成するという意味が含まれています。

f. 教育訓練報告書の内容:報告書の作成日、承認日、教育訓練報告書の管理番号、作成および承認の責任者の氏名、教育訓練実施日または期間、教育訓練の内容、訓練を受けた職員の氏名、所属等、教育訓練の責任者の氏名、所属等を記載して報告する。(19②関係逐条解説①)

g. 教育訓練の実効性に関して、その教育訓練を受けた職員、組織、部門等ごとに業務の種類、内容等に応じて、必要な知識並びに技能及び技術の習熟度を踏まえ、その業務を適切に遂行できるかどうか、教育訓練の頻度及び内容が適切であるかどうか等を定期的に評価する仕組みが求められる。(逐条解説19④)(19④関係逐条解説②)

実効性については、誰かが質問しています。
[問]「実効性を評価する」とは具体的にどのような対応をすればよいか。
[答]「実効性の評価」とは、製造業者等として、教育訓練の内容が的確に実務に反映されていることを評価することをいう(例えば更衣手順の確認のための模擬操作等による評価等)(事例集GMP19-5)

この事例集の例えは、以前は「例えば模擬製造等により評価する」でした。「更衣手順の確認のための模擬操作等による評価等」に変わったのは、何かの配慮があったためだと思います。どんなことでしょうか。当事者とそれを直接聞いた人にしか分かりませんよね。でも想像するのは自由です。GMPの勉強は退屈ですから、このようなことを自由に想像して、退屈しのぎというか、より面白く学ぶ工夫をしてみてはいかがでしょうか。

[問]どのような評価により改善を図ればよいか。
[答]職員が担当業務や職責を理解し、遂行する能力を有しているか、現在の教育訓練システムが有効なものとなっているかを評価し、教育訓練資料の更新の必要性や実施頻度、手法等について改善措置を検討すること。(事例集GMP19-6)