PIC/S データインテグリティのガイダンス初版(PI 041-1)

2021年7月1日付で、データインテグリティのPIC/S ガイダンスが発行されました。ドラフトを経てやっと最終版になったという感じです。ドラフト3の発行から2年半かかりました。改正省令の遵守に対応するにはタイムリーだったと思います。

今回の最終版で、”Data Integrity”の用語の意味が変わりました。これは、PIC/Sにおける用語の定義ということで、他の管轄当局が同調するかどうかはわかりません。世界中で用語が統一されたら、私たちとしては余計な神経や労力を使わなくて済むので、ありがたいですね。しかし、用語についてはなかなかそうならないですね。せめて、日本は同じ用語の意味であってほしいと、個人的には思います。

これまでの定義(definition)は、「ライフサイクルを通して、完全で、一貫して、正確な範囲」と言っていました。そして、「ALCOA+の原則に従うべき(should)である」としていました。

(“..)φ:個人的に感じることですが、定義に”…should…”が入ると、定義っぽくないなと思います。今まで「~を意味する」とか「~である」という定義の表現に慣れてきたせいなのかな?

今回の最終版の定義は長いですね。ガイダンス的なことも入っています。用語集はこのような内容でいいんですが、個人的にはムズムズするのです。ガイダンスは、本文の方に入れてほしいなと、個人的に思います。それから、ALCOA+の定義も他の文献を参照するのではなく、用語集に入れておいてほしかったなと…これが個人的な感想です。

ドラフトから最終版で変わったのは、完全性、一貫性、正確性の他に倫理的にも科学的にも信頼できるという意味でだと思うのですが ”trustworthy, reliable”という言葉が追加されたことです。そして、範囲(The extent)から程度(The degree)になりました。

インテグリティの程度って、多分正確な言い方なんだと思いますが、具体的に表現するの難しそうですね。

”trustworthy”は品質文化の記載理由につながる言葉だと思います。実際にここが問題になっているので、データインテグリティを語る上で避けることができませんね。逆に、定義にこの言葉を入れなければならない状況は、監督機関にとっては頭痛の種ですよね(患者にとっても)。

データインテグリティの問題の発生防止や是正に取り組むためには、”trustworthy” と“reliable” 、それにALCOA+を構成する用語の定義(またはイメージ)を知っておく必要があると思います。

普段、簡単に使ってしまって、事例やイメージを含めて、具体的かつ十分に説明できないものは、この機会に振り返って考えてはいかがでしょうか。例えば、「必要に応じて」、「重大な影響」、「評価する」、「適切に」、「定期的に」など、結構あるような感じがします。