教育訓練整理ノート6
今回も実効性について思うところを書きたいと思います。
この文章は私個人の考えを書いたものです。GMPの要件や管轄当局の期待を書いたものではありません。予め断っておきますね。白黒つけたい方には、読んでも意味のないものになるかもしれません。
大体(ここからして、個人的な決めつけが始まっています)、GMPの作業は「人」と「システム」と「管理」が介在します。下図はデータインテグリティのセミナーで使用するために作った図なんですが、どこにでも当てはめることができるかな?と思っています。
実効性を評価するための「模擬製造等」の場合には、大きく括ると「人、システム、管理」が介在する複雑系です。例えば、人:適格性;システム:教育訓練の計画・手順・教材・トレーナーや「模擬製造」の工程、機械、環境;管理:運用の方法や評価などが細かく影響しあいます。
また、手順の中には不測の事態への対処も記載されているでしょう。その対応を観るために、そのようなモデルを作って職員の数だけ実施するのは非現実的かもしれません。どうしたらいいんでしょう。
どのように評価していくかは、講座のなかで提案したいと思います。
今回は、評価のヒントになりそうな文献を一つ紹介します(桑名翔, 中央大学, 調査報告書「組織における人の不適切な行動を防止する活動の評価方法」2009年3月)。この文献は、調査のセンスを身につけるのによいなと思います。
この文献には、フローチャートが記載されています。このフローチャートは標準作業と人の行動を軸に書かれています。このチャートの「不適切な行動とは言い切れない行動」のフレームから線を引っ張って、システムや管理要因に関する判断を追加していくこともできそうですね。ちなみに私はそうしないのですが、そのような手もありますよという感じで紹介しました。
次回は「模擬製造等」の「等」の部分を考えてみたいと思います。一旦、模擬製造から意識を外してみようかな。いろいろな方法が見えてくるような気がします。
ところで改正GMP省令案文を読みますと、現行版では「計画的に実施すること」の趣旨として含めていた「教育訓練の実効性を定期的に評価する」というのが、第19条4号に独立して記載されています。
「教育訓練の実効性を定期的に評価し、必要に応じて改善を図るとともに、その記録を作成し、これを保管すること。」
現行の省令と次の改正省令は、微妙に言い回しが異なるものの、根っ子は同じ「PIC/S GMP Cl.2.11」だと思います。期待する側が同じ意図で書いていれば、受け取る側は同じ意味として受け取る必要がありますね。次回から両者を分けずに、準備の進行状況を書き留めていきたいと思います。