FDA Warning letter(320-19-38):OTC(韓国):出荷試験;品質部門;プロセスバリデーション;安定性
FDAのWarning letterが9月10日に掲載されました。その医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。今回の対象会社は、韓国のOTC医薬品製造施設です。
バッチ記録のプリントアウトでデータインテグリティについて指摘されています。
指摘は、1)出荷試験; 2)品質部門; 3)プロセスバリデーション; 4)安定性に関する4項目です。
WL#: 320-19-38
日付: 2019年8月15日
発行オフィス: CDER
対象会社: Enprani Co., Ltd.(韓国)
対象品: OTC医薬品
査察期間:2019年3月11日~15日
回答受理日:2019年3月29日付
GMP違反:4項目
掲載サイト:
<指摘事項の解説>
1.適切な出荷判定試験を行いませんでした(21 CFR 211.165(a)) 。
この会社は、有効成分の確認と含量試験をせずに、米国市場にOTC医薬品を出荷しました。出荷したバッチの含量、鉛、ヒ素の試験に合格したと報告していますが、生データは査察中に見ることが出来ませんでした。
試験に一貫性が見られたため、2017年9月15日以降は試験を実施していないとのことでした。
(..)φ:毎バッチしなかったんだ。ということで、この違反が一番にあげられています。
2.この会社は、マテリアルの承認・却下の責任と権限を有する適切な品質部門を確立していませんでした(21 CFR 211.22(a) )。
(..)φ:試験なしに出荷したことがなによりの証拠ですね。
品質部門は、医薬品の製造に対する適切な監督をしていませんでした。バッチ記録全体を確認していませんでした。例えば、生データの参照や計算の検算をしていません。さらに、分析結果が記録される前から、バッチ記録は「承認済み」としてプリントアウトされていました。
(..)φ:データインテグリティの同時性、正確性の問題。
さらに、ラベルの調査とラインクリアランスも実施されていません。
3.適切な製造管理手順書が作成されていませんでした(21 CFR 211.100(a))。
プロセスバリデーションができていませんでした。PPQ〔日本のPVにあたります〕を実施していなかったことと、工程のモニタリングの継続的なプログラムがなかったことを例にあげています。
4.安定性プログラムを確立していませんでした(21 CFR 211.166(a))。
安定性データがありませんでした。初期の安定性試験で、有効期間を設定するための分析をしていませんでした。