FDA Warning Letter(320-18-39):OTC軟膏(ドミニカ共和国):製造設備;試験データ;試験法
医薬品GMPに関するFDAのWarning letterを紹介します。
今回の対象会社は、ドミニカ共和国のOTC製造施設です。指摘は、1)製造設備の分離; 2)試験データの記録; 3)試験法のバリデーションに関する3項目です。
今回は、解釈が難しかった指摘項目1の状況を把握するために、当該査察時のFDA-483 の併読を試みました。分析に時間がかかったため、2~3は軽く斜め読みで大雑把にまとめています。
(“..)φ;詳しい内容は、Warning letterの原文をお読み下さい。
WL#: 320-18-39
日付: 2018年3月9日
発行オフィス: CDER
対象会社: Labocont Industrial SRL(ドミニカ共和国)
対象品: OTC医薬品(軟膏)
査察期間:2017年6月5日~9日
回答受理日:2017年7月13日
GMP違反:3項目
掲載サイト: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm601181.htm
<指摘事項の解説>
1.適切なサイズの特定された区域で作業を実施しておらず、汚染や混同を防止するのに必要な分離区域または特定された区域またはそのような他のシステムを持っていなかった。(21 CFR 211.42(c))
この会社は、同じ施設で2種類の製品を製造していました。●と非●医薬品を製造しているようです。例えば、●と●は、OTC●非●医薬品とともに製造されます。この会社の施設で製造された他の医薬品に許容できない●汚染リスが存在する●製造施設を完全にかつ包括的に分離していませんでした。
(“..)φ;伏字が多く、詳細を把握できませんので、この査察で発行されたFDA-483 を確認してみました。FDA-483 では11項目の指摘があります。この文書も、上位の指摘事項の部分は伏字が多く、またWarning letterと同じ書き方ではないので正確にはわかりませんが、いくつかの観察事項を組み合わせると、次のような状況と思われます。
FDA-483 のObservation 1Cで、つぎのように指摘されています。
「…適切な性能を保証し、異なる製造工程に影響を及ぼすような好ましくない事象を防止するために必要な、重要システムのコンディションをメンテナンスし定常的に調査していなかった。」
OTC医薬品は、軟膏でした。洗浄しにくいですよね。査察官がウォークスルー中に、あるタンクのシール部分がリークしているのを観察しました。この施設では、●OTCの製剤に使用する原料が、OTC最終製品に接触する●にも使用されていたと書かれています。
Observation 8では、装置が共用されていて、マニュアル洗浄されていると書かれています。また、Observation 7では、洗浄作業が懸念されることが述べられています。その理由に、充てんホース(軟膏の!)も共用されているうえ、クリーニング工程はバリデートされていなかったためです。
(“..)φ;ある製品の製造で使用されている原料が、他のOTC軟膏の最終製品の接触表面に接触する状況でした。軟膏の充てんホースを含む、共用装置のマニュアル洗浄はバリデートされていないということで、汚染リスクがあるファシリティの分離ができていないという結論ではないかと想像します。
これ以上は、フィクションになってしまいますので、想像を巡らすことは避けたいと思います。
2.所定の規格や標準への遵守を保証するために必要な、全ての試験から得られた完全なデータを含む試験記録を保証していなかった。(21 CFR 211.194(a)).
医薬品およびAPIの分析データを維持し、品質部門がレビューすることを保証していませんでした。例えば、分析者は生成した吸光度データを記録しておらず、計算結果のみを報告していました。
3.試験法の真度、感度、得意性、室間再現精度を確立して文書化していなかった。 (21 CFR 211.165(e))
分析法はバリデートされておらず、特異性が不十分でした。さらに、試験に使用する機器は、校正またはメンテナンスされていませんでした。